18 バレてない?
再び目覚めた時、私はベッドの上に寝かされていた。
はっとして、周りを見渡すと…私の部屋じゃない。
これは…客間ね。
私の部屋は侵入された時、窓の破片とかでめちゃくちゃにされてしまったので、すぐには使えないからね。
エリーが近くの椅子に座っていた。寝ずの番をしてくれていたようだ。
「お嬢様…。」
目にいっぱい涙を溜めこちらを見ている。
そして、私が眠ったあとのことを聞いた。
賊は窓から邸内に眠り薬を撒いて、皆を眠らせたこと。
窓のない執務室の中までは薬が届かず、とうさまだけが賊と戦ったこと。
私もとうさまも無事だったこと。
賊の正体は、公には不明と言う事になっているが、侯爵家の可能性が高いこと。
うん。私が自力で戻ってきた事も、皆を治療した事もバレてない。
やはりあの執務室の前で見た男は犯罪者だった。職が暗殺者だったのを見たときに、すぐとうさまに知らせるべきだった?
でも、それでは私が鑑定を使えることがバレてしまう。
この世界では、鑑定を使える人がほぼいないと知った。
鑑定に近いことが出来る魔道具を使って、初めてわかるようになっている。前世で私が治癒師ギルドでやった方法である。
あとは、上位の実力者になると、魔力や力の差を推し量ることが出来るらしいが…。
それにしても、侯爵ともあろう大貴族が、なぜ犯罪者などを使者として使っているのか、疑問に思うべきだった。
今までにも、こんな強引な手段を使って、悪い事をして来たのは容易に想像できる。
このままロリ侯爵が、諦めるとは思えない。
次も皆が無事だという保証も無いし。
対策する為にも、私の秘密を話さなければならないと思う。
あと…エリーは…侯爵の内通者じゃないよね?王都から帰った後に雇ったのだから、怪しく思えてしまう。
少し警戒しておくべき?悪い子には見えない…思いついた事があり、試してみた。
「精密鑑定」
エリー(人族)
13歳
バトルメイド
Lv12
LP1200/1200
MP100/100
AT120
DF120
MAT20
MDF20
魔法:
生活魔法
身体強化魔法
スキル:
料理
双剣技
格闘技
称号:
奉仕する者・ディラント家メイド・フィアルリーナ崇拝者・Fランク冒険者
やった!やっぱり思った通り。精密鑑定なら詳細に見えるのね!ってか…
侯爵の仲間じゃなかったーー!
…ごめん。エリー。疑ってほんとにごめん!
だけど?気になるところもあるよ?崇拝者って?私を?ちょっとだけ…引いたよ?でもいいよ。あなたを仲間に引き込めるとわかったから。
冒険者登録は、8歳から見習いとして無料で登録出来る。見習いを経て、10歳になれば本登録で晴れて冒険者のEランクから始められると、本に書いてあった。
見習い期間の登録が無い場合は、10歳以上でも普通にFランクから始めるそうだ。
これは貧しい者達への救済措置。成人は13歳だが、貧困層の子供が早くから収入を得て、生きられる確率を増やしているのである。
実質、見習い期間の子供とFランクは、同等に扱われる事になっているらしい。ホントかな?…テンプレ期待してるよ私は。前世では、知識なくて無力だったから避けてたけどね。今は普通に絡まれたいです。それは異世界のイベントなのです。
何事も、最初が肝心とよく言われるではないですか。女子供だと、ナメてかかってくるいけすかない奴らには、ガツンとお仕置きが必要なのですよ?
だから私が8歳になった時、エリーにはパーティを組んでもらう。これは決定事項なのである。




