2これからどうしよう
馬車を降ろされたのは、草原地帯のど真ん中だ。
こんなところで降ろしてどうしろというのか。
そして、兵士は私を一瞥もせずに馬車に乗り込み戻って行った。とりあえず、殺される事は無かったので良しとしよう。
さて、まずは魔物や盗賊から身を守るためにいくつか試さなければならない。
あと、移動手段として、転移とか出来ないだろうか。
「結界」
そう呟くと…なにか透明なベールが自分の身体を包んだ。
うん。なんかこれで攻撃は防げそう。
「転移」
その瞬間、どこかの部屋の中にいた。ここは…?
…ヤバい…王城の中のあの小部屋だ。どうしよう。行ったことのある場所に出るのが分かった。うーんと他にも印象に残ってる場所は…
「転移」
馬車の荷台に出た。走ってる。外を覗くと街の中で、多分王城に向かっている最中。人気のない曲がり角辺りでこっそりと馬車から脱出しよう。結界してあるから最悪怪我はしないと…いいな。
そして、私は思い切って転がるように…落ちた。少し衝撃を感じただけで怪我は無かった。よかった。痛いのは嫌てす。結界マジ凄い。
すぐに建物の陰に隠れて兵士に気付かれてないか覗く。大丈夫だったので、ほっとした。
さあ、この格好も何とかしないと。上下グレーのスウェット姿。完全にこの世界で浮いてる。寝るときのパジャマだから。服屋さんを探して、その次は冒険者登録した後、宿屋かな。情報が欲しいから、図書館的なところも探して、無ければお店でさりげなく聞いてみよう。
…お金の価値がわからない。どうする。服屋でぼったくられても悔しいし。
屋台探してひとつ買ってみよう。銅貨で買えるのではないかと思う。
何かの焼ける香ばしい匂いがする方に向かって歩いてゆく。間違えてスラム的な所には行かない様にしなきゃね。
あった。串焼きっぽい屋台。…何の肉だか少し不安。だけどお腹も空いてるし、チャレンジしてみよう。
「おじさん。ひとつください。」
「はいよ。30リルだよ。」
串焼きと引き換えに銅貨1枚を渡してみる。
すると、なにも言わずおじさんは黒い小さめの硬貨を7枚返してきた。
…良かった。銅貨3枚渡さなくて。やはり予想どおり銅貨の下にも違う硬貨があったのだ。見た感じ、鉄っぽい。仮に鉄貨にしとこう。
そして、買った串焼きをかじってみると、以外と美味しかった。ちょっとえぐみがあるけど、食べれない程ではない。
多分、日本円にして30円くらいの価値だろうと思う。
そうすると、
金貨10000円
銀貨1000円
銅貨100円
鉄貨10円
その下にもありそうだけど、だいたいこんな感じの価値かなぁと思う。
あの王様にしては奮発したのかもね。4万1千円。
「おじさん、ここら辺に良い服屋さんないかな?田舎から王都に出て来たんだけど、恥ずかしくって。」
「ああ、確かにここでは見ないの着てるなあ。服屋ならそこの角を曲がってしばらくすると冒険者ギルドがあるからその隣にあるよ。」
「ありがとう!また買いにくるね!」
「おう!まいど!」
いいおじさんでよかった。
おまけに冒険者登録もできそうだ。




