表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/172

17 襲撃

 

「ん…。」


 お腹空いて目が覚めた。夕食食べそびれたみたい。いつもなら誰かが起こしに来てくれるのに…。


 部屋の中は真っ暗で、なんか寒い。どうしてかと思ったら、ここは、自分のベッドの上じゃないし、自分の部屋でもなかったから。


 まだ、寝ぼけて…る…?


 違う。どこかの小屋の中みたい。少し埃っぽい。


 精霊達がいつもの様に近くにいるから、その優しい光で周りがぼんやり見える。


 いつの間にこんな所に?


 …誘拐された?


 ふふふ…だけど、私には転移があるのよ?5歳児だと侮らないでよね!誰か見張ってるわけじゃなさそうだから、さっさと逃げよっと。


「転移」


 私はすぐに自分の部屋のベッドの上に戻れた。だけど…


 ……なにっ?この惨状は?窓は壊され、私の部屋がめちゃくちゃに荒らされてる!


 やっぱり、私攫われたのね。


 …はっ!とうさま達はっ!?


 私は慌ててベッドを降りて、部屋の外に飛び出すと、廊下には沢山の倒れた人達がいた。


 し、し…死んでないよね?とにかく回復しておかなきゃ!


 慌てて近寄ると、眠ってるだけ?外傷もないし、息もしている。ちょっと安心した。毒かもしれないから…


「キュアヒール」


 本の知識が役に立ったよ。だけど、治癒師の本。神聖魔法の本は教会が秘匿してるらしくて、とうさまの書斎にはありませんでした。


 念のため片っ端から回復かけながら、とうさまのいるであろう執務室を目指す。


 1階に降りると、更にめちゃくちゃだった…血を流している人も…ああっ!


「とうさまっ!」


 それは、とうさまだった。


 すぐに駆け寄り…息が微かにある!まだ!まだ救える!


 私の目の保養。イケメンとうさまを死なせてはならない!


 私は素早く、この瀕死の状態から回復するための魔法を考えた。これはハイヒールじゃダメだ。治癒師の本にはハイヒールまでしか載ってなかった。


 言霊創造さんにお任せします…これしかないと思った。


「完全回復!」


 魔力は多めに減った様だけど、倒れるほどじゃない。寧ろまだまだ余裕な気分。


 傷だらけだったとうさまの身体は、みるみるうちに治り始め、お腹の一番深い傷も、まるで逆再生映像の如く塞がっていった。


 切られた服は戻らないし、流れた血はそのまま残ってるけど、なんとかなったみたい。


 まだ、意識は戻らないけど、大丈夫だろう。


 生きてさえいれば、私が治せるのはわかった。


 そして、眠らされていた者達が起き始めて、こちらに走ってくるのが見えた。その中にかあさま達もいたのでホッとした。


 もう一つ、可愛い天使のエルドが間違って誘拐されなくて良かった。更にホッとした。


 う…魔力、ゼロではないけれど、結構使ったから疲れたのかな。また眠くなってきた。所詮5歳児の身体なので、眠気にはめっぽう弱いのです。


 後は、他の人がやってくれる…


 そう思い、気絶するように眠りに就いた。とうさまに寄り添う様に。生きているとわかる暖かいその体温を感じながら。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ