146 アレスト様倒れる
お読みいただきありがとうございます。
うーんと…国境の関所にするんだよね。
なら、建物も要るよね。
私の理想は凱旋門みたいなのがいいなー。
でも、あんな風な凄い彫刻とか施す才能ないし、まあ、単純に兵舎兼物見櫓を兼ね備えたアーチ状の門を作ればいっか。
あの変なアンデッド教皇もやっつけて、グランダ皇国はそんなに脅威ではなくなったとは思うけど、一応、入国審査とかきっちり出来る場所は必要よね。
そして、土精霊のつーちゃんにグランダ皇国側の壁の一部を取っ払ってもらう。
そして、私のイメージを伝えると、一気に地面から建物が迫り上がる様に完成した。
ぐぐっと魔力が身体から引っ張られる様に抜けていった。でも、まだ余裕。
さてと、そしたら、今度は門の扉をはめ込まないとね。鉄とかがいいかな。それとも檻みたいなやつ…物々しいのは嫌だし、やっぱりシンプルに木かしら。
あ、別に扉まで私が造らなくてもいいんじゃん。
父様にお願いしよう。
よし、じゃあ、ディラント側の壁を全部取っ払って…終了よ!
ん?皆んなが走ってこっちに来る。
壁を消したからね。
でも、そんなに慌てなくても良いのに。
特にアレスト様、なんでそんなに焦って走って来るのかしら。
いやん。そんなに婚約者の私の事…心配?なーんちって!恥ずかしいー!
なんか、叫んでるね。「まもの、いる、きけん?」
あー。もしかして、そこの魔の森のオークの巣の事かな?
大丈夫なんだけどな。
あいつら、こっちの『聖域』には入って来れないみたいだし。
アレスト様とベルクリフ様が私を護る様に前に立ち、森を睨む。
「フィー。早く侯爵のところへ!」
いやいや…私よりも王子様の方が大切でしょ。寧ろ私が王子様の盾にならないと。
でも余計な心配をかけてしまったみたい。さっさと殲滅しとくべきだったわ。
「あの。アレスト様。あれはこちらの領域は入って来ません。でも、要らぬ心配をおかけしてしまったようです。申し訳ございませんでした。すぐに排除致しますね。」
「「え?」」
そして、雷精霊らいちゃんのサンダーアロー数十発で一瞬で殲滅してもらった。火精霊のえんちゃんがファイアーアローを撃ちたかったみたいだけど、ダメよ、火事になっちゃうもの。あそこの巣周りはトレントじゃないんだから、燃えたら困るよ。
「…す、凄まじい…。殲滅の白金姫…これほどとは…。あのオークの群れが一撃か。」
あのぉー、ベルクリフ様。その二つ名は途轍もなく恥ずかしいです。厨二です。凄いのは精霊ちゃんですからね。
さっきから静かなアレスト様、様子がおかしい。顔色が悪い。冷や汗が…体調崩した?
「ぐっ…!」
呻いてその場に膝をつくアレスト様。
「アレスト様?!どうなさいました?!」
頭を両手で押さえて…倒れた!
どどど…どうしたの!あ、頭痛いの!救急車!は無いわ。とにかく急いで邸に運ばないと!
きっとまだ、身体が本調子じゃなかったんだ。それなのに無理してこんな辺境に来たから…。
でも、頭痛いの、脳腫瘍とかだったらヤバいよ。
私は慌ててアレスト様を抱え、皆と一緒に転移した。
次の更新はまた来週となります。
「時繰りの聖女」は今日もう1話更新します。




