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閑話 アルフレット・ディラント

お読みいただきありがとうございます

 

「フィー!」


 我がバルディア王国第一王子、次期国王アレスト王太子殿下は、無事戻った俺の最愛の妹をそう呼んだ。


 この王子は遥々王都からフィアに会いに来たらしい。


 フィアが拐われてこの混乱のくそ忙しい中、早馬で第一王子が来ると先触れがあり、父上はフィア救出の為の部隊を編成中で、王太子殿下の対応は俺がすることになった。


 だが、王太子殿下はこの事態を知り、まもなく到着する次期公爵である従兄弟のベルクリフが率いる国境警備軍も、救出軍に加えると言い出した。


 だが、大人数の部隊の移動は時間がかかり、到着するのはもう1日ほど後らしい。


 そんなに待てないんだが…取り敢えずは今の話を父上にお伝えすると殿下の御前を辞し、父上と話していたら、ひょっこりと何事も無かった様にフィアは戻ってきた。


 うん。可愛いな。


 何かを誤魔化す様に照れ笑いをするフィアも可愛い。


「フィア!」


 俺と父上がフィアの所に行こうとしたら、いつ邸から出て来たのか、王太子殿下がフィアに抱き着いた。


 …殿下も転移が使えるのか?と思うほどの素早さだった。


 父上は固まり、俺も一瞬思考が飛んだ。


 だが、すぐに我に返りフィアの所に駆け寄った。


 む…今何と呼んだ?


 フィー…だと?


 そんな馴れ馴れしい呼び方を!


 …で?何してる?どうして抱き着いている?!


 今すぐ離れろ。それは俺の妹だ。


 すぐに離っ…ゲフンゲフン…すぐに離れてくださいませ。


 落ち着け俺。


 相手は王太子殿下だ。


 深呼吸して脳内を整理。


 貴方様は、婚約者ではありますが、未だ他人でございます。


 しかも2人ともまだ成人前。


 ベタベタするのは、些か早すぎるのではないでしょうか!


 如何に王太子殿下であろうとも、断固抗議致します!


 それにしてもフィアが…いつも明るくて誰にも物怖じしなくて元気で愛らしくて、聡明で敵を諸共しない強く美しいあのフィアが、あんな風に固まって動けないとは。


 王太子殿下恐るべし。


 一刻も早く解放してやらねば。


 そんなに王太子殿下を嫌っているならば、御不興を買ってでも俺がフィアを守ってやらないと。


 王子は俺の言葉に眉をピクリと動かしただけで、渋々といった程ではあったが、フィアの腰に絡めた腕を解いた。


 俺は素早くフィアを抱え上げた。


 5歳違いの可愛い妹はまだ小柄で、俺でも楽々と抱き上げることができる。


 できればこのまま、可愛らしく幼いままでいて欲しいと思ってしまう。


 いつかは嫁にやらなければならないとは理解してはいるが…それは今じゃない!


 そんなことをグルグルと考えながら、俺は王太子殿下からフィアを救出する事に成功したのだった。


*兄よ…妹は恐れて固まっていたのではなく、ただ美少年に見惚れて悶えていただけである。

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