136 闇ちゃん最強説
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領軍兵士達が戦っている相手は『鎧』だった。
リビングメイルとか言う奴だった。
これは中身のないアンデットで、鎧自体が本体なので雷属性の攻撃が効かなかったのだ。
生身の人間相手とかなら雷ちゃんは無敵なんだけどなぁ。
「父様!こんなの、何処から入り込んだのですか?!」
「どうしてかわからんが倉庫からだ!」
敷地内にある倉庫?
あそこもお掃除とかしたけれど、怪しいものなんてなかったけどな。
父様と兄様に前に出てくるなと釘をさされ、仕方なく後方に下がり、皆にこっそり個別結界をかけた。
結界したからもう怪我はしないと思うけど、決定的な攻撃が出来ず排除出来てない。
分解…ってか腕とか頭とか取れても、すぐに戻ってしまうみたいで、苦戦している。
領軍兵士達は剣に付与魔法をかけて戦っていたけれど、聖騎士である父様とリグトス子爵以外の兵士達は炎とか水、風、土属性であまり効き目がないみたいだった。
そして、兄様の雷属性もあんまり効いてない。
やっぱり光属性や聖属性じゃないと『呪われた鎧』は倒せないかな?
兄様の剣、賊とかが相手ならば効果抜群なんだろうけど、アンデットにはイマイチみたいだから、ちょっと取り替えさせてもらいたい。
光属性はリグトス子爵が使っているから、残っているので効きそうなのは闇ちゃんの剣。
「兄様!それと交換!こっち使ってください!」
だけど、敵を抑えるので手一杯で交換なんて無理っぽい。
「転移」
目視で出来る短距離転移で兄様の近くに転移した。
「フィア!無理だ!下がれ!」
横からリビングメイルが斧?槍と斧がくっついてるみたいなやつで攻撃してきた。
「っ!」
咄嗟に私は兄様に渡そうと手にしていた闇ちゃんの剣で防御した。
別に多重結界も纏ってるから攻撃されても多分問題なかったんだけど、反射的に手に持ってた剣で防いだ。
「……え。」
斧の先、闇ちゃんの剣と触れた部分がまるで切り取られたかのように無くなった…。
あれ?なに?これ?…消えたよ?
この剣凄くない?!
先の無くなった武器の柄で私の多重結界をガンガン叩いてくるリビングメイル。鬱陶しい。
試しに、闇ちゃんの剣で柄を持っているリビングメイルの手を突いてみた。
手が取れた…というより消滅したというか…。
動きを封じるため脚やもう一方の腕もつついて、頭というか、顔の部分もつついて消滅させた。
リビングメイルはまるで亀さんのように地面に転がった。
まだ胴体だけでゴトゴト動いているから死んで?ないみたいだ。
他の皆が必死に戦ってる中、私だけ緊張感が無くて物凄く申し訳ないんですけど、検証に夢中です。
転がっているリビング亀メイルの心臓部に上からトドメを刺すと、心臓部にはポッカリと穴が空いて、そこから砂のように崩れて消えていった。
だけど…まじで消えるよ?すごいよ?
触れたら…消滅するの!?
こわっ!
どうしよう。
ヤバいもん作ってしまった。
敵を消滅させたら、万能庫に死蔵決定だ。
いやいや…闇ちゃんの魔石外せばいいだけだった。
だけど闇ちゃんの武器はヤバいわ。
闇ちゃん最強説。




