135 雷ちゃんのショック
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「あ、兄様、ちょっと待って。これ、使ってください。」
万能庫から一振りの剣を出した。
これは試作品。修練場に放置されてた剣を少々拝借し、錬金スキルで私の創った魔石を柄のところに装着させたものだ。
その魔石には雷ちゃんの属性を付与した…黄色い魔石を錬金スキルで埋め込んである。
上手くいけば、ショックの魔法と同じ効果が期待できるんじゃないかとやってみた。スタンガンならぬ、スタン剣?
他にも、炎ちゃん、風ちゃん、土ーちゃん、水ちゃん、光ちゃん、闇ちゃんの剣もつくった。
闇ちゃんは実際どんな効果があるのか、ちょっと分かんなかったんだけど、綺麗な紫色でアメジストみたいだったから、装飾品感覚で着けてみた。
でも、普通の刀身に何かの革を握りの部分に巻いただけの剣につけるのはちょっと勿体無かったかな。
もっと良い剣があったら、宝剣とかに出来そうよね。
まあ、錬金スキルで取り外し出来るから、良い剣を見つけたらそっちに付け替えたらいいね。
鍛治スキルも欲しかったなぁ…。
私は剣が使えない(刃物が怖い)。なので、誰かに使ってもらおうと考えている。
「これは?」
「領軍施設の余ってた剣を修復ついでに、私の精霊ちゃんの属性を付与してみたんです。これは雷属性なんですけど失敗してたらごめんなさい。でも、普通に剣として使えますよね。」
「付与って…はあ。自重しろって言ったばかりなのに。『これは』って事は他にも作ったんだな。」
「あははは…早く行きましょ!兄様。」
1階に降りると、母様達が居た。
ハクは母様達の警護兼エルド達の遊び相手をしてくれていた。
『ぼくもいく』
「いいえ、ハクはここで母様達を護っててね。」
リグトス子爵もマリアナちゃんの警護についていた様で、丁度良いと修復済みになっていた聖鎧を渡した。
「何とか修理終わりましたから、どうぞ。あと、これも使ってください。」
光ちゃんの魔石を付けた剣も一緒に渡した。
リグトス子爵には光属性魔法が発現してたから、きっと使いやすいと思う。
感謝してるのはわかったから、跪いて受け取らないで。
「リグトス子爵も一緒に来てください。敵襲です。」
そして、私はマップで赤い点を認識して、いつも通りに雷ちゃんに指示した。
あれ?!
赤い点はオレンジに変化する事も無く、青い点と交戦している。
なんで?おかしい。雷属性魔法が効いてない。急がなきゃヤバい?
領軍施設は隣と言っても、かなり距離がある。やっぱり転移で行かないと間に合わないかもしれない。
「兄様!急ぎます!」
そう告げると、兄様が頷いてくれたので、転移を唱えた。




