134 なるべく自重…できるかな
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以前、私が絡まれた事件、魔の森に強制転移させてお灸を据えた時の話がいつのまにか広まったのだとソレストさんが教えてくれた。
犯人はあの冒険者達かぁ…?もっと、こう、可愛い感じの二つ名的なのが良かったな。
でも、自業自得ってわかってるから、別にいいけどね。
確かに、あの大量のトレントを燃やした様子を間近で目にしたら、殲滅なんて言葉になるかもしれない。
脅し…お願いしてドロップアイテム拾わせたしね。
だけど、姫って呼ばれるのは恥ずかしいし、違和感があるんだけど…姫ってのは王族の娘って意味なんじゃないのかな?
そういえば、アレスト殿下は私の事を姫って呼んでたなぁ…。
脳裏に婚約式の時の金髪に淡いブルーの瞳の王子様の優しい微笑みが浮かぶ。
はぁー…よく考えたら、アレスト殿下もかなりのイケメンになるだろうな。今はまだ10歳くらいだから、可愛いって感じだけどね。
もう数年したら、目の保養に…。
おっと、いかん。私は変態じゃないですからね。怪しい言動は控えましょう。通報されます。
小学生じゃ守備範囲外よ。せめて成人した人じゃないと…って、中身はどうあれ、今は8歳の少女でしたわ。
なんて、ぽやーっと妄想してるうちに討伐報酬の計算が終わったからと受付に呼ばれた。
これまた大量の金色の貨幣が目の前に積まれている。
最初の頃のあの貧乏な懐状態(家は貧乏じゃないよ)は何だったのか。
「ご希望ならば、白金貨でお渡しも出来ますが。」
私が無言で金貨の山を見つめていたので、お姉さんが気を遣って提案してくれたのだろう。
「あ、これでいいです。」
万能庫に入れれば重さも関係ないし、白金貨なんて使えないでしょ。
それにしても兄様がずぅーっと無言だ。
私を守るようにして背後についていてくれてる。
また、呆れさせちゃったんだろうなぁ。
まあ、これが私なんだから、しょうがない。
私は私の思う通りに生きて行きたいのだから。
「…フィア、もうそろそろ邸に戻ろう。」
「あ、はい。そうですね。兄様。お腹も空きましたし。」
「フィア、転移は…」
「転移。」
私の部屋に転移した。
「ダメだと…言おうとしたんだが。全くお前は。」
「あはっ。ごめんなさい。」
「…お前は感覚が麻痺してしまっているのかもしれないが、その力はあまり人前で見せたらダメだ。お前のその力を手に入れたがっている者共が増えるのは良くない。どんな手を使ってくるかわからないんだ。俺がどんな事をしてでもお前を護ってやるが、なるべく自重しろよ。」
兄様…心配してくれてありがとう。だけど、それは私のセリフよ。私は兄様や父様、母様、エルド、領軍のみんなやこのディラント領の人達(悪人除く)が不利益を被るのは、我慢ならない。
私の所為で、大切な人達が危険に晒されるのは不本意だけどね。みんなを絶対守る!私利私欲の為に私の力を欲しがる輩は、叩き潰してやる。
敵対するなら容赦しないよ?っていうスタンスで。
「はい。なるべく自重します。ごめんなさい。」
と一応言っておく。魔の森の開発には私のチートが無ければ進まないしね。程々に力を使っていきますね。
ん…?なんか騒がしい。
マップを展開。領軍施設内に赤い点?敵?
「フィア!なんかあったみたいだ。」
「はい!兄様!隣の領軍施設内に敵の反応があります。」
「そ、そうか。そんな事もわかるのか…?まあいい、行こう。」
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