130 絶対に行きます
お読みいただきありがとうございます。
「父様、私、皇都に行きます。大丈夫ですから。私には精霊達がついていますし、フェンリルのハクも連れて行きます。だからお願いします。」
父様の心配も分かるけど、迅速にやらないとマリアナちゃんの家族もこの人達の家族もどうなっちゃうかわからない。
放っておけば、いずれこの国にも影響が出る。一番に被害を受けるのは間違いなくこのディラント。
私にはマップがあるから、敵がすぐにわかるし、襲われても結界があるから防御できると思う。
それに襲われる前に相手を無力化すればいいんだし。
だけど、確かに物理攻撃手段として何か考えておかないとダメかなぁとは思っているよ。
武器振り回すのは…無理。刃物怖いもん。
前に少しだけ考えてた事があるのよね。私の結界、防御だけじゃなくて攻撃もできるんじゃないかと思うの。
3枚目の結界創ってみようかなと…攻撃結界かな?
個別結界は身体の表面を覆う様なやつで、多重結界はドームの様な大きさ形自在のやつ、何枚も重ねて防御できる。閉じ込めるのにも使える。
そして、私の理想の攻撃結界のモデルはスライムかな。
あの有名な魔物ね。
以前どこにでもいるって聞いたのに全く見たことなかったと思ってたんだけど、気づかず普通に踏み潰して歩いていたみたい。
踏み潰しても足の裏とかにくっついて来たなら気づけたんだろうけど。
ゴブリン狩りに夢中だったし、確かに足元は見なかったよ。個別結界、多重結界で覆っていたし、マップにも敵性反応出なかったし、想像してたのと違った形状で…可愛くなかった…なんか、透明な液体のりが地面に溢れてるみたいな奴だった。
そう…よく、漫画やゲーム、アニメで観てたのは、真ん丸で目があって、びよんびよん跳ねて、プルプルしたやつ。この世界のは違った。ちょっと残念。
おっと、話がズレた…攻撃結界よ。
多重結界は硬いけど、個別結界は柔らかく身体を覆って動作を阻害しない。
攻撃結界は…多重結界や個別結界の外側に展開しといて普段は柔らかくて、自由自在に形状を操れる感じなのがいい。
何とか私の妄想力の範囲で言霊先生頼みで試してみよう。
絶対に大丈夫とは限らないから油断はしないし、危なくなったら、転移で逃げる。
現在の敵の様子が分からない事には、今後の作戦も立てられないでしょ。
私が一度でも行けば、次は転移で行けるんだから、転移出来る範囲も増やしておきたいのよね。
案内はリグトス子爵にしてもらえばいいんだし。
先ずは偵察しに行かないとね。他の人に任せて、もしその人が帰って来なかったらと思うと怖い。
父様達にしたら「その気持ちそっくりそのままお返しする」と言われそうだけれど、私ならチートで何とかなりそうなんだもん。
敵地への潜入は少ない方が良いでしょ。
「それに、案内はリグトス子爵様にして頂くつもりです。」
そう言うと、リグトス子爵が嬉しそう…鋭い眼が少し優しくなる。傍目にはわかり難いだろうけど。
「私からもお願い致します。フィアルリーナ様は我が命に代えてもお護り致します!」
リグトス子爵がそう言うと、父様は…
「貴殿の事をまだ完全に信用しているわけではない。フィアを任せられん。そもそも、フィアを行かせられん。」
まあ、そうなるよね。だけど、私は知っている。彼は裏切らないだろう。さっきも鑑定したんだもの。そしたら、称号の所少し変わっていた。
《フィアルリーナ・ディラントの信奉者》から《フィアルリーナの崇拝者》に。
大丈夫だとこっそりと父様に耳打ち…したかったけど、鑑定出来る事がバレちゃう。『ステータスオープン』でも驚かれたのに、それはマズイ。
とりあえず、この場は諦めたフリをして、こっそり行く。近いうちに絶対に行く!
それと忘れてはいけない。
すぐに動けない腹いせに砂漠のど真ん中にでっかい壁造ってやる!
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