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128 黒い呪い

お読みいただきありがとうございます。

何とかまた1話書けたので更新しました。

 

 領軍棟救護施設はちょっとした大病院みたいに大きめに建てられていて、危険な辺境に相応しく大量の怪我人や病人を収容出来るようになっている。


 一般の庶民が利用できないってのは宝の持ち腐れだと思うけどね。この間私が提案したから、そのうち例のスラム撲滅計画に利用できるだろう。


 そして、その噛まれた兵士が治療を受けている部屋に入ると5人の兵士達がベッドに寝かされていた。


 治癒士によれば、回復魔法が効かず傷も塞がらないらしい。顔色が悪くなり、やがて意識を失ったそうだ。


 私には蛇の様な黒い靄が噛まれた傷口から伸びて全身に絡まりつつある様子がはっきり視えた。


「…父様、やはり黒い呪いが巻きついて視えます。多分この呪いが死者でなくともアンデットへと変えてしまうのでしょう。」


「フィア、…解けるか?」


 普通のアンデットなら噛まれても同じアンデットになる事はないし、神聖魔法の浄化で倒せる。だけど黒い靄は呪い。だから解呪かな。


「やってみます。…解呪!」


 金色に輝く光が部屋を埋め尽くす。


 黒い靄が光に触れると散り散りになって消え去った。


 その部屋に寝かされていた5人ともに効果があったので楽ちんだった。ほんとに言霊先生の力は強力だわ。助かるー。


 この様子を皆呆然と見たままフリーズしちゃってるので治癒士に声を掛けた。


「呪いはこれで消えましたから、もう治癒魔法が効くと思います。兵士さん達の傷、治してあげて下さいね。」


 とにっこり笑顔でお願いした。


「これでもう大丈夫ですよ。行きましょう…父様?」


 父様はまた久々に光の消えた目で私を見つめて、ため息を一つ吐くと諦めた顔でポツリと「行こうか」と呟いて部屋を出た。


 うん。バイオハザードになりそうだったのを阻止出来たんだから良いのよ?まあ、正確にはゾンビウイルスとかじゃなくて呪いだから、カースハザードとか…?面倒くさいからバイオハザードでいいや。ゾンビっぽいし。


 それにまだ大元の感染源の方が残ってるんだからね。


 むしろそっちの方が厄介かも知れないし。


 そんな事を考えながら、あの尋問室に戻ると、臭いがきつい…。


「と…父様…無理。もうこの黒ローブ達からは何も聞き出せないのでしょう?取り敢えず呪いと隷属を解きます。」


 そして、さっきと同じ様に解呪と解放、ついでに浄化を唱えた。


 すると、その部屋の中にいた全てのガルダート信者達の身体は崩れる様に消えていった。やっぱり人に戻る事はないのね…この人達を解放出来て良かったとは思う。でも、気持ちのいいものではないよ…。


 その様子をずっと見ていたリグトス子爵は悔しそうに拳を握りしめていた。そうよね。グランダ皇国の民がアンデットに変えられてたなんて…。


 …って事は、今現在進行形でグランダ皇国はバイオハザードなんじゃないの?!


「父様、他にグランダ皇国の情報を知る術はないのですか?」


「まだいちばん最初に捕らえた10人の侵入者達がいる。あの者達は黒ローブ達とは違う様だから、これから聞きに行こう。」


 そうだった!あの砂漠ダンジョン村の侵入者がいたわね。あっちは声を出して気絶してたから、アンデットじゃないと思う。…アンデットじゃないといいな。


次の更新はまた週末となります。

宜しくお願い致します。

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