124 全員救出成功
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「……お嬢様…?」
「エリー!良かった…もう大丈夫よ。」
治療後エリーは漸く目を覚ました。
この砂漠ダンジョンの5階層でエリーは、全身打撲、大量出血、毒状態で私の前に運ばれて来た。
巨大蠍に腹を刺され、そのまま地面に叩きつけられたと思われ、レベル上げでステータスが上がっていなければ、即死してもおかしくない状態だった。
私達ダンジョン捜索隊の驚異的な進行速度での発見救出成功と行方不明者達の頑丈さも幸いしたのだろう、死者は一人も出なかった。
領軍兵士達はエリーも含めて、あの巨大蠍の攻撃にも即死しない程度にレベル上げが出来ていたし、まだ5階層の魔物だから、もし領軍兵士達が隷属されず、魔法士達も揃っていたなら、こんな重症瀕死にならなかった筈らしい。
ガルダート信者達が、脳筋体力自慢の兵士達だけを戦わせ、連携もへったくれもなく突っ込ませたからこんな悲惨な事になったのだと、ガダン兵長が怒り狂っていたよ。
ーー私はなーんちゃってポーション(オレンジジュース)をがぶ飲みしながら、救出者全員の隷属解放をし、エリーを始めとした重症瀕死者全員に完全回復を施し、先にディラント領軍の治療施設まで転移で運んだ。
流石に精霊ちゃん達の巨大魔法の消費と、負傷者全員の解放、完全回復、転移…幾ら私の魔力量が膨大だと言っても足りなくて、途中で魔力枯渇の眠気が襲い気を失いそうになったから、やばいと慌てて大量にストックしてたオレンジジュース飲んだわ。
魔力を枯渇状態から、そのまま更に限界以上に放出しようとすると、生命力を削って魔力に変換されてしまい…死に至る。前世の私の様に。だから、眠気が来たら魔力が少ないですよー眠って回復してくださいねーと言う身体からのサインね。
ここに着いた時戦っていた数人の軽傷者達には、もう直接オレンジジュース配って飲んでもらったよ。
主に行方不明だった中級冒険者のパーティ達。さすがだね!隷属されていてもパーティの連携は取れていたみたい。
ダンジョン攻略パーティ達なので、10階層までなら難なく進めると言っていた。
皆問題なく全快出来たのでなーんちゃってポーションなどと馬鹿には出来ないね。
私の治療の順番が来るまでの繋ぎの治癒回復をしてくれていた領軍治癒士達にも魔力枯渇解消の為にオレンジジュースを配りました。ほんとに大量ストックしておいて良かったわ。皆、美味しくって魔力も疲労も回復したと、びっくりしながらも喜んでくれたし。
そして、ダンジョンを脱出する時、あの巨大蠍のドロップ品を見た…大量のキノコだった…。
『ドクマッシュ』…『ネムリマッシュ』…『シビレマッシュ』…。
要らんわー!赤、青、黄!信号かっ!見るからにヤバそうな色をしている。
美味しそうに見えないってか、食べられないよね…放置しようかな?
だけど聞いたら、錬金スキルを使って危険な成分を取り出してしまえば食用にでき、希少な高級食材として高額で取り引きされるらしい。
このキノコは錬金の材料。グランダ皇国がよく使う強力な眠り薬はコレが使われていると思われる。
…シビレマッシュには少し…いいえ、かなり嫌な記憶があるんだけどね。
うーん。そう言えば美味しかった記憶も確かにある。
そして手の空いた兵士達が総出で、私が治療などをしていた間にカラフルなキノコをきちんと回収してくれていた。
試しにネムリマッシュ1個に自分の錬金スキルを使用してみた。
すると、青いキノコは眠り成分の青い粉と真っ白なキノコに分かれた。
うん!美味しい高級キノコなら必要ね!後で万能庫の中でまとめて抽出分離しちゃおう。
私は兵士達が回収して来た大量のカラフルキノコをありがたく全て万能庫に入庫した。
ふふ…また貯金が増えるわ。
治療した負傷者達を領軍治療棟に転移で運んだ後、ガダン兵長らと共に父様の居る場所に戻って行方不明者の救出、治療、領軍治療施設に収容済みの報告すると、ダンジョン村警備の兵士隊を残し、ディザの町の兄様の隊と合流した。
もう日が暮れていたし、私も疲れているだろうとディザの町で一泊した。
その時、兄様と共にいたギルドマスターのソレストさんが、唯一砂漠ダンジョン20階層まで到達した人だったと聞いた…しかも、ソロで。
…なら、私もきっと20階層までは余裕で進めるわね。
それにしても今日は本当に…疲れたよ…。
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