123 蠍は魔法が効きにくい
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砂漠ダンジョン村の父様の所に戻り、現在の状況と兄様からの報告を済ませると、またダンジョンの5階層に転移した。
「フィアルリーナ様、ご無事でしたか!」
「ガダン兵長、この魔法陣の先はディザの町だったわ。連れ去られた者達は全て兄様に保護していただきました。父様には報告済みです。残りの行方不明者達は…この先ね。今日中に見つけるわよ!」
…とは言うものの、蠍かぁ。見たくないわぁ…。
でも、そんな事言ってたら助けられない。エリー達は今も何されてるか、いいえ、させられてるか…。
そして、5階層の魔物ゾーンへと進んだ。
すぐに新たなマップが表示される。
…見つけた!
「見つけたわ。この先、まだちょっと遠いから急ぎましょう。」
隷属を示す黄色の点と紫色の点があり、赤い点の敵と交戦中なのを表していた。
移動しながら、雷ちゃんにいつもの様に指示する。
「雷ちゃん、お願い。」
……あれ?マップを見るとエリー達と思われる反応の背後にあった赤い点はオレンジに変わったが、未だ前方の魔物と思われる赤い点は消滅していない。
オレンジの点はガルダート教信者なんだろう。
蠍には雷属性が効かないのかしらね?
「ガダン兵長…ここの階の蠍には何が効くのかしら。雷撃が効かないみたいなの。」
「火属性か光属性の攻撃が有効と聞いてはおりますが、我々は矢や武器にそれを纏わせて討伐しておりました。蠍は基本的に魔法が効きにくいという事です。」
そっか…魔法が効きにくいのか。でも、効かないわけじゃないのなら、出力上げてみようかな?
「炎ちゃん、ファイアーランス、デッカいの行ってみよか。光ちゃんもライトブレードで頭狙ってみよう。」
うん…どちらも上手く討伐出来ましたね。炎も光も有効っと。
そうしているうちに、前方に目視できる距離まで追いついた。
…え…!こんな遠目に見ても血だらけ…。
戦っていた兵士達は皆ボロボロで満身創痍だった…。
辛うじて立っているのがやっとの状態の者達が数名、後は全て倒れ地に伏せていた。
ひどい…!皆瀕死状態じゃないの?!
「炎ちゃん!光ちゃん!蠍ガンガン殲滅して!」
炎ちゃんの巨大炎槍が蠍の巨体を貫いて消していく。
光ちゃんの巨大光剣も蠍の頭部を正確に貫いて消していく。
『フィア、ぼくもあれやっつけてこようか?へんなやつらとおなじ。』
確かに今は雷ちゃんみたいな同時攻撃じゃないから、ハクも加勢してくれたら殲滅が捗るわね。
「うん。助かるよ。お願いね、ハク。」
そう言うとハクはすぐに駆け出しながら、兵士達を器用に避けて巨大蠍に向かって行った。
走りながら元の大きさになった様で、巨大蠍に引けを取らないデカさになっていた。まるで怪獣映画みたいな…。そして腕を一振り、例の斬撃を食らわすと、巨大蠍は一瞬で細切れになって吹き飛びましたよ…凄いわ。
その光景に領軍兵士達は暫し呆気にとられて立ち尽くす。
「ガダン兵長!魔物はハクと精霊達が討伐してくれてます!早く皆を!」
兵士達はその言葉でハッと我に返って動き出す。
「気絶させた敵を捕縛して!兵士達を救出したら私の所に!隷属を解いて治療します!領軍治癒士達も手伝って!」
黄色の点がどこにあるのか分からなくなっちゃった。エリーはどこ!?
…エリーの武器は双剣だった。そんなちっちゃな剣であんな巨大蠍に向かわせるなんて…。
しかも、魔法を纏わせて戦うなんて事は、生活魔法しか無いエリーには無理だったはず。
「ああ…!エリー!」
運ばれて来たエリーは全身酷い状態だった。
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