122 魔法陣の行き先は…
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転移魔法陣の先は何処かの部屋に繋がっていた。
見張りは1人しかいなかった。
そして雷ちゃんが部屋の中の赤い点を瞬時に判断、気絶させた。
少し狭い部屋の中は先に連れて来られた人達が押込られていた…皆、一様に虚ろな瞳で座り込んでいた。
マップには隷属を示す紫。視ると紫の鎖が絡み付いてる。
ちっ…またこんな事して!全部壊す!
「…解放」
パキンと音がして彼女達の首輪は直ぐに外れた。
ここは何処だろう。ダンジョン内の様に1区画毎マップが違う訳じゃ無いから、外なのは間違いないのだけれど。グランダ皇国かしらね。でも砂漠のど真ん中じゃないし、何処かの町みたいね。
マップを限界まで広げてみた。
エリーはここにも居なかった。
んん?青い点があるよ?知り合い…兄様?!
青い点の団体がこの建物の1階で赤い点の団体と交戦中なのを示している。
って事は…ここはディザの町?
まあ、いいや。とりあえず兄様達の援護をしよう。
「雷ちゃん、お願い。」
そう呟いた瞬間にもう、赤い点の団体は一斉にオレンジの点に変わった。後、マップ上の赤い点、町中にもあったよ。その一般人に紛れ込んでた赤い点も忘れずに無力化してくれた…さすが雷ちゃん。仕事が早くて正確ね。
そして、この部屋の扉が開いて、兵士達が雪崩れ込んで来た。
「領軍だ!大人しくしろっ!」
…あっ。やば。リグトス子爵は敵のローブ着てるんだった。
「皆さん、お仕事ご苦労様です。私です。フィアルリーナです。」
とフードを下ろし、皆に顔を見せた。
「…フィア?なのか?いや、敵の撹乱?」
兄様も入って来た。
「本物です!兄様。」
そして、この部屋には魔法陣で転移して来て、これが砂漠ダンジョン5階層に繋がっている事。領軍の女性兵士達が隷属されここに運び込まれていて、それを追ってここに出た事などを説明した。
「フィア!またお前はそんな危険な!」
あ、兄様げきおこです。怒ったお顔も素敵ですが…怖いです。イケメンが怒ると迫力あります。ここは素直に謝っておきます。上目遣いでウルウルと…。
「ご、ごめんなさい…。兄様。」
「まあ…良い。それより、おいで。」
あら、抱っこしてくれるんですか?えへへ。
リグトス子爵から引っ手繰るように抱っこする兄様。私がリグトス子爵に抱っこされてるのが気に入らなかったのかしら。
「あ、兄様。町中にも一般人に紛れて敵がおりました。気絶させてありますので、捕らえておいて下さいね。」
「そうか。ありがとうフィア。このディザの町の調査、敵の捕縛はフィアのお陰で捗りそうだ。例の伝令から聞いた魔物寄せも発見したぞ。全て町の外壁に隠してあった。」
「アルフレット様、この建物の他の部屋にも魔法陣が設置されておりました。」
兵士の報告でこれの他にも何処かに繋がる魔法陣が発見された。もしかして、そっちがグランダ内のガルダート教のアジトとかに繋がってるのかしら。
それを使えば、グランダ皇国のマリアナちゃんの家族を助けるのに役立ちそうね。
今はこちらの国内の敵を一掃してエリー達を助ける方が先だけど。
「わかりました。父様に伝えますね。兄様ももう一つの転移魔法陣はグランダ皇国の敵のアジトに繋がっているかもしれませんので、警戒をお願いします。私は引き続きエリーや行方不明者を探さねばならないので、行きます。」
…だから離してね!兄様。
なんとか離してもらい、リグトス子爵と共に転移した。魔法陣は使わずに私の転移で先ずは父様の所へね。




