121 行方不明の兵士達発見
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…巨大化した蟻が槍持って襲って来るのよ!さすが異世界。ダンジョン不思議。全部討伐すると蟻塚まで消えるのは判りやすくっていいわ!
そして、蟻塚跡にはポツンポツンと何かが残っていた…ちっさい壺ね。蓋を開けて見ると中には液体が入っている。壺が茶色なので液体の色が解らない。
「フィアルリーナ様、それは『蟻蜜』です!滅多に出回らない貴重な物ですので貴族の間では高額で取引されます。それが…こんなに。」
蟻の蜜。貴重な甘味なのだろうけど…美味しいの?食べても安全なの?…まあ、岩塩も魔物産だしね。今更かしら。多分、蟻塚の中に居たであろう女王蟻からのドロップ品かしらね。
あ…もし蜂蜜とかメープルシロップみたいなのならパンケーキとか美味しく食べられるよね?嬉しー!
巨大蟻達からは魔石と銅の槍がドロップされた。
なるほど、この砂漠ダンジョンに潜れば、調味料、お金や初心者向け武器が手に入って凄くお得なのね。
それを拾って、万能庫に入れまくる。
フロアマスターとかボス的なものは居ないのか聞いてみたら、現在確認されているのは10階層と20階層に居るらしい。因みに20階層はまだクリアされていないのだそう。
あー…次の階層はサンドスコーピオンって言ってたよね。蠍かぁ…またでっかいんだろうなぁ…嫌だなぁ。
でも、進まなきゃね。
4階層から5階層に降りる階段が見つかった。
今度こそエリー達が居るのではないかと期待しながら階段を降り5階層の安全地帯を窺うと…白いローブを纏った者達がいた!
ぐったりしている女性と思われる人達もいる。着ている物から領軍の女性兵士と女性魔法士とわかる。
ーー男性の兵士達は見当たらない。もう既に連れて行かれたのか、この先の魔物ゾーンにいるのか…。
そして…あった。魔法陣。やはりこれでここから人々を運び出して攫っているのだろう。
白いローブ達は女性達を担いで次々とその魔法陣の中に消えていく。しばらくしてまた戻ってきては担いで消えるを繰り返している。
まずいよ。みんな連れてかれちゃう。どうする?どこに繋がっているか分からないけど、彼女達を救出しないと…。
女性を攫う目的なんて大体分かる。しかも、魔法が使える限定で連れて行ってるのがわかってるから…ソレ目的なんでしょうね。
魔法適性のある子供が産まれたとしても女神リルディアの加護が無いと魔法使えないって…知らないんですかね?バルディア王国では常識ですよ?
見張りの為なのか、6人の白いローブ達は常に残っている。
「雷ちゃん、頼むわね。」
ガダン兵長に目で合図して踏み込み、雷ちゃんが6人を気絶させて、すぐに拘束させた。
残りの女性達と捕らえた6人を階段に隠し、自分達も身を隠す。
そして、女性達の運び役達が戻って来るのを待ち、戻って来て異変に気付く前に気絶させた。
「ガダン兵長、あの白いローブ誰かに羽織らせて、私を担いで欲しいの。さっきのアイツらみたいに。さすがに私だけが現れたら警戒されるし、魔法陣消されたら困るから。」
「危険です!何処に通じているか分からないのです。いくらお嬢様でも…!」
「でも、私なら攫われた皆を連れて転移で戻って来れるのよ?敵も無力化出来る。」
「…うっ…うーむ。では、私がお嬢様について行きます。」
「え?それは駄目よ。兵長が居なくてはこの先の階層から敵が戻って来たり、不測の事態に対処出来ないでしょう?」
「その役目は私が致しましょう。フィアルリーナ様、是非私をお連れ下さい!この身に換えてもお護り致します。それに行き先がグランダ内だった場合、私の方が詳しいですから。」
ガダン兵長は、リグトス子爵をあまり信用してないのか反対したけど、ガダン兵長がここを離れるわけにはいかないものね。
でも、多分大丈夫よ。リグトス子爵の称号にはそれらしき悪いものは見当たらないし、何と言っても私の信者だって称号ついちゃってるし。
もし裏切られても、結界纏ってるから大抵の事は防御出来る。それに精霊ちゃん達の目は誤魔化せないのよ。
他の領軍兵士達もこぞって立候補したけれど、リグトス子爵が適任だと思う。
私は領軍魔法士のローブを借りて羽織り、リグトス子爵が白いローブを羽織る。
…肩に担ぐのは断固拒否されて、お姫様抱っこに変更されてしまったけど?いいのかな?秒でバレない?
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