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閑話 ガダン兵長

お読みいただきありがとうございます。

 

 〜ディラント辺境領軍兵長の独り言〜


 私はガダン。


 現在はディラント領軍の兵士長を務めている。


 元々は王城で近衛騎士団長だった先代ディラント伯爵様の部下のひとりだった。


 現王が皇太子だった頃、王都から南方に連なる山脈の麓で学院の魔物狩りの訓練に参加された際、正体不明の賊の襲撃を受け、その時皇太子だった現王を護って怪我を負った。


 賊の殲滅を終え、騎士学院の学生達も騎士団の兵士達も数人の軽傷で済んだ。


 フルドレット様もそんなに酷い怪我ではなかった。だが、見る間に体調が悪化し、解毒の魔法、治癒の魔法をかけ続けたが、王都へ帰り着く前に亡くなられた。


 調査の結果、皇太子殿下を狙った賊の武器にだけ解毒魔法の効かない猛毒が塗ってあった。


 賊は全滅させてしまった為、正体は不明。身元の判る物は何一つ身につけておらず、狙いは皇太子殿下の暗殺だったと結論づけた。


 フルドレット様の奥方様は元々病弱でその訃報を聞いた後に倒れ、体調を崩して伏せっていたが、ダルグレット様が近衛騎士団長に任ぜられた頃亡くなられた。


 そして、既にその頃公爵家のシルリーナ様と御婚約されていたダルグレット様は結婚を期に辺境ではあるが魔の森を含む広大な領地を与えられ、ディラント辺境伯爵となられたのだ。


 私はダルグレット様が近衛騎士団長になった時、直属の補佐を任されていた関係もあり、ダルグレット様に着いて共にこのディラントにやってきた。


 やがて、長男のアルフレット様がお生まれになり、お嬢様のフィアルリーナ様、次男のエルドレット様がお生まれになって、ディラント辺境伯爵家は安泰だと思われたのだが。


 ディラント領主である我が主君ダルグレット様のお嬢様、フィアルリーナ様は幼い頃から少し変わったお嬢様で…普通の貴族の御令嬢とは『全く』違う。


 5歳までは全く言葉を話さず、病弱と言う事で殆どをベッドの上でまるで人形のように過ごされて、ご長男のアルフレット様でさえ少し避けられていた様な状態だった。


 それが、ある日を境に別人のように変わられた。


 王都での職授の儀で最強と伝えられていた精霊魔法士となり、突然言葉を流暢に話し、様々な凄い魔法を平然と行使され、まだ幼いながらその容姿は輝くばかりの美しさで、領軍兵士達は崇拝とでも言うほどの忠誠を捧げている者達も多い。


 見た目と行動の差が極端でそれがまた良いと兵士達の間で大人気の様でもある。


 兄上のアルフレット様も最近はかなりフィアルリーナ様を溺愛されておられるし、かく言う私も、まるで孫娘の様に可愛くて仕方ない。


 確かに幼くともフィアルリーナ様はダルグレット様のお血筋を引いているだけあり聡明でお強い。


 だが、もう少し自重して下さらないと我々の仕事がなくなりますな。


 それに、お嬢様を狙う不届きな輩が再び出てこないとも限らない。


 もしそんな輩が出て来たら我々領軍兵士達が黙ってはおりませんが。


 ここにいる他国の貴族であるリグトス子爵様の、お嬢様を見る瞳が…言動が…領軍兵士達のそれと同じ様になっているではありませんか…。


 だから、色々な雑事は我々に任せて本当にもう少し自重を……無理ですかな…。


ブックマーク&評価ありがとうございます。

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