115 砂漠ダンジョン1階層よ。
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そして、どんな敵にも比較的効果のある、雷ちゃんに先制攻撃をお願いしてある。勿論マップに映った敵だけだけれど。
そうして洞窟のような通路を抜けると開けた荒野が突然現れた…各階層トンネルを抜けると別世界になっているらしい。
この1階層は至る所にゴツゴツとした岩があり、砂煙が舞っている様な薄茶色に霞む空がある。太陽は無いがほんのり明るい。地下とは思えない何とも不思議な空間だった。
ちょっとマスクが欲しい気がしたが、実際には人体に有害な空気は無く、ダンジョンが見せる幻の空らしい。
そのゴツゴツした岩の全てが岩の魔物。動かない岩がソルトロックでその名の通り岩塩を落とす。
そして、もう一種類攻撃してくる岩があり、其方はスピンロックと言い小さな石を落とすそうだ。何とその小さな石はそのまま石貨として使えるらしい。日本円で1円玉くらいの価値ですが…。攻撃と言ってもクルクルその場で回るだけ、迂闊に素手で触らなければ怪我はしない。
…ここの階層は武器よりピッケルで採取的な感じ。
私のマップには全ての岩に赤い点と名前が出ているので、欲しいものだけをドロップ出来そうだけど、取り敢えず進行方向の邪魔になりそうな岩を優先的に破壊するつもりである。今は、居なくなった人達の捜索ですからね。
雷ちゃんに頼んであったので、マップに映った順番に片っ端から落雷し、アイテムを残し消えていった…。
ガダン兵長。やめてそんな父様と同じ目で見ないで。そしてリグトス子爵様、皆も、そんなキラキラとした鋭い瞳は需要ないと思います。…ある？
でも、ちゃんとドロップアイテムは全部拾いました。ってか、皆が自動で拾ってくれたよ。
全ての岩魔物を消しちゃっても、数時間でまた地面から生えてくるらしい。筍みたい。
うん。確かにここなら一般庶民でもツルハシやハンマーとか持ってればいいからね。良い稼ぎ場所だわ。
動かない岩とその場でクルクル回るだけの岩。危険度は殆ど無い。
そして、私達は進んでゆく。
普通なら一日かかるところを僅か1時間で狩り尽くし、兵士達が集めて来たアイテムを万能庫に全て収めた。…片膝ついて捧げるのはやめて。
そして、洞穴の様な出口が見えてきた。
「フィアルリーナ様、ここに下への階段がございます。お気を付け下さい。皆、次の安全地帯に賊が待ち伏せしている可能性がある。気を引き締めよ。」
ガダン兵長が私と皆に向けて言う。
そして、偵察の為に数人の兵士が気配を殺し先に階段を降りて行く。
私のマップは階段迄しか映さない。2階層に足を踏み入れ無ければ2階層の魔物などは視えない。もどかしい。
2階層の偵察に出た兵士達が戻り、ガダン兵長に報告する。
「この先の安全地帯に領軍の設備が残っている様ですが…残念ながら人の姿は確認できませんでした。」
領軍の訓練は、主に2階層で行われていたらしい。
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