114 やっとダンジョン入り口。
お読みいただきありがとうございます。
伝令は送ったし、兄様ならきっと大丈夫よ。少なくとも消息不明なエリーよりは緊急度が低いんじゃないかと思う。
「ガダン、少しでも危険だと思ったら直ぐにフィアを脱出させろ。皆も頼むぞ。出来ることなら私が行きたいのだがな…。」
「なりませんダルグレット様、お嬢様は私が命に代えてもお守り致しますので、こちらでお待ちください。」
「リグトス子爵殿もフィアの事を頼みます。この子は直ぐに突飛な行動で無茶をするので、少々驚かされるかもしれませんが宜しく願います。」
「ディラント侯爵様、フィアルリーナ様は私と皇女殿下の命の恩人です。私もフィアルリーナ様を全力でお守り致しますから、ご安心下さい。」
…突飛な行動…無茶をする…そうですね。その通りです。すいません父様いつもご心配をおかけして。
だけど、私も充分注意しますよ。だって、ダンジョンの中で私の精霊ちゃんが魔法を発揮できるのか、私の転移とか使えるかどうか、試してみないといけないし。
ダンジョンの入り口の上に建物が建てられており、中に入ると、シーンと静まり返っていて少し不気味だった。
通常、この場所は衛兵達がおり、他にも出入りする冒険者達で賑わっている筈だそうなのだが、人の気配がない事で異常さがよくわかる。
一応皆警戒しながら歩く。すると建物の丁度中央部に下への階段があった。
その階段を降りて行くと、石造りの2枚の扉が現れた。これは、万が一スタンピードが起きた時の封鎖扉として設置されているそうだ。
普段はこの扉は開かれたままで、扉の両側に衛兵が立っているのだそう。
しかし、今は誰もおらず扉も閉まっている。それも変なのだ。
…扉を開けたら魔物だらけだったりしないよね?
聞いたら、この扉を開けても直ぐ魔物がいるわけでは無いらしい。
でもちょっとだけ怖いな。だってマップを見ると、扉の向こうは別マップみたい。足を踏み入れないと視える様にならないのだろうか。
先頭の兵士達が扉をゆっくりと開けた。
その先は小さな広場になっていた。そして、またしても誰もいない。この広場は一応魔物の湧かない安全地帯だそうで、各階層にこの様な安全地帯があるらしい。
そして、この砂漠のダンジョンは弱い魔物しか出て来ないので、新人冒険者達のレベル上げや稼ぎ場所になっており、その安全地帯を利用し、皆泊まり込みでドロップアイテムを集める。
因みに現在は20階層までは踏破されているらしいが、初級冒険者は5階層まで、中級冒険者は10階層までを目安にしていて、そこから先は上級、超級冒険者でないと進めない程魔物が強くなるらしい。魔の森ダンジョンで言うと、トレントは11階層からの魔物と同じくらいの強さらしい…もしかしたら私余裕かも。
そして私達は1階層の入り口安全地帯の広場を通り過ぎ、魔物のいる場所へと進んだ。
既に皆に結界は纏わせた。言うなれば個別結界。問題無く発動は出来た。全員に纏わせるのは人数が多いし初めての試みなので弱い結界になってしまっているかもしれないが、無いよりはマシ。もし敵や魔物の不意打ちがあっても、即死は避けられるんじゃないかと…思う。
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