112 父様兄様のおかげで元気満タンです。
ブックマーク&評価ありがとうございます。
「「「「「うおおおおーっ!!」」」」」
兵士らから上がる雄叫びにびっくり…。
「と…父様。皆、元気ですね。でも、もし怪我人が出たらすぐに治癒しますので、仰って下さいね。」
「ああ、フィアに頼りきりなのは申し訳ないが、私はお前がいてくれて良かったよ。」
キリリとした顔を少しだけ緩めて微笑む父様。
ぁああ…嬉しくって照れちゃうよ。父様。
…うおっ!後ろから抱っこされた…力持ちね。兄様。
「フィア、父様の隊をダンジョンに送ったら、ここに戻ったらどうだ?俺はお前がダンジョンに潜るなど心配だ。」
優しい兄様。私はイケメンエキスを只今絶賛補充中でございます。とても満足でございます。元気チャージ満タンで益々ダンジョン潜る気満々です!
「ごめんなさい。兄様。私を心配してくださるのは嬉しいです。でも、エリーを私も探したいのです。でも兄様も充分お気をつけ下さい。ディザの町に敵が潜んでいるかもしれません。」
そうよ。例のガルダート信者がどこに潜り込んでいるかわからないじゃない。兄様こそ、ちょっと心配なんだけど…。
「兄様…戻って来たら、また抱っこ…してくださいね。」
そしてイケメン補充を泣く泣く中断し、兄様に下に降ろしてもらい、父様の隊をダンジョン前に転移させた。
ダンジョン周りの集落は町程大きくない。でも不自然な程静まり返り、ダンジョンの中がどうなっているのか不安にさせる。
私のマップでもこの集落に私達以外の反応は…無い。ダンジョンの中は別マップみたいだから、中に入らないとどうにもならない。
エリーや他の訓練中の兵士達、冒険者達は大丈夫なのか。
「ふむ…やはり、これはおかしいな。小さな集落ではあるが、店にも人っ子一人見当たらんと言うのは。皆、警戒を怠らず、誰か隠れていないか先ずは周りを捜索してくれ。」
まるでゴーストタウンの様な雰囲気の中、兵士達が手分けして調査、捜索を開始した。
私も近くのお店の中を覗いてみる。
ここは携帯食料などのお店なのか、干し肉などの保存食料が並んでいる。
お店をそのままに人だけが消えてしまった状態である。…まるでミステリーね。なんて言ってる場合じゃないわね。異常なのよ。
それから、隈なく調査したが、全てこの店と同じ様に無人だった。この村の人達が無事だと良いのだけれど…。
ん?私のマップの隅っこに赤い点?いち、に、…全部で10個。
グランダ皇国方面の砂漠に敵出現よ。魔物かな?と思ったら、人間よ…名前付いてるから。まさかの10種類の魔物や名前付きの魔物だったら面白いけど。
「父様!砂漠、グランダ皇国方面から敵が近づいてます。捕縛準備お願いします、」
「…戦闘準備じゃなくて、…捕縛準備?」
ソレストさんが呟いた。
うん。捕縛準備よー。さすが父様は疑問も口にせず、ガダン兵長に準備させる。馬車の時の事知ってるしね。私の行動に慣れたわねー。
「雷ちゃん、敵がこの集落に侵入したら、ショック発動。宜しくね。」
そして、皆、物陰に隠れた。
「ぐぁっ!」「がっ!」「ぎゃっ!?」
暫くして、いくつもの短い悲鳴が聞こえ、侵入者達は全て気絶した。
「はあ…本当に呆れる程に簡単に精霊を操るのだな。フィア。…ガダン、すぐに賊を捕縛せよ。」
うん、ホントに優秀な精霊ちゃん達よ。
こいつらが一体何の目的で、ここに来たのかは知らないけれど、運が悪かったわね。絶対、好きにはさせないから。
ガダン兵長の隊をダンジョン探索組とし、父様の隊は集落に待機、そして、先程の賊の尋問をする事になった。勿論私は、ダンジョン組よ!
さあ、中はどうなっているかしら。
エリー…無事でいてね。
お読みいただきありがとうございます。




