111 魔力は満タンです。
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「…リグトス子爵殿の体調はもう良いのですかな?それにダンジョンに潜るにしても、あの特別な鎧は修復不可能な程傷ついて使えないのでは?ここではあれ程の物は無いのです。すぐには一般的な鎧しか用意出来ませんが、それでもよろしいか?」
修復かぁ…今は着てないけど、隣の救護室に置いてあるあの鎧よね?
何とか出来ないかしら。アンデッドも退ける凄い鎧だもの。勿体ないよ。
「はい。私はそれで構いません。」
「もしかしたら、王都なら修復出来る職人がいるかもしれない。探してみましょう。それまでは武具をお貸ししましょう。」
「ありがとうございます。宜しくお願い致します。」
「父様、鎧は私が運びます。」
「ああ、そうだな。頼むよフィア。では一旦皆で我が邸に。」
私は急いで隣の救護室の鎧や盾、折れた剣、破れたドレスなど彼らの持ち物を全て万能庫に回収して、皆で邸に転移した。
リグトス子爵はとても驚き、マリアナちゃんもびっくりしたのか私にしがみついてきた。
「大丈夫よ。もう着いたわ。」
私はマリアナちゃんの髪を撫でながら落ち着かせると 嬉しそうな顔をして更にぎゅっと抱きついてきて…可愛い!
リグトス子爵の武具を用意する為、父様達は領軍棟に行ってしまった。
さて、マリアナちゃんを連れて行く訳にはいかないから、どうしようかな。やっぱり、母様にお任せするのがいいわね。
すると、母様と一緒にいたエルドが天使の笑顔で自分もマリアナちゃんを守ると言ってくれた。はあ…ここは天国でしょうか。可愛いすぎる!
マリアナちゃんも人懐っこいエルドと美しい母様に懐いてくれそうね。
私は安心して母様とエルドに任せる事にした。
あ、ハクの事、すっかり忘れてた。
自分の部屋にハクを迎えに行くと…まだ寝てた…この子本当に寝過ぎ。
仰向けでお腹丸出しでなんちゅう無防備な格好で…可愛いけど。
「ハク…起きて。行くわよ。」
声を掛けながら、お腹を優しく撫でると気持ち良さげにして、目を開けた。
『フィア、おなかすいた。だっこして』
目覚めて即腹へったって…
もう本当に食いしん坊の甘えん坊だわねこの子。いや、魔力の補充が抱っこで出来るんだから、当たり前か。でも、ハクを抱っこするのは、重くないしフワフワあったかくて気持ちいいから嬉しいんだけどね。
ハクを抱っこして、領軍棟に行くと討伐隊改め調査隊は既に準備が整っていた。
父様とリグトス子爵、そして兄様、ガダン兵長がお話をしていた。
「フィア、準備が整った。行けるか?」
「はい。大丈夫です。父様。先ずはディザの町で宜しいですか?」
「ああ、ディザの町の指揮はアルにしてもらおうと思っている。先にアルの隊をディザの町に送って、私とガダンの隊をダンジョンに送ってくれ。」
「大丈夫です。全員纏めて先ずはディザへ転移します。」
「この全員をか?!大丈夫なのか?フィア」
ふふ…余裕よぉー!だって、サンドワームの群れを倒したおかげでまた一気にレベルが上がっちゃったから!
「行きます。…転移。」
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