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99 お姫様

 

 直ぐに冒険者ギルドに転移した。父様は私の転移にすっかり慣れたみたい。


 ソレストさんは既に国王様に報告し、2人が何者でどの様な背景でバルディア王国に来たのか、目的もはっきりしていない状態で王都に入れるのは拙いと言う事で、意識が戻り次第聴取をし、危険人物で無ければ引き続き保護すると言う事になった。


 隣国にもかかわらず国交が無く、冒険者ギルドもない。宗教が異なるため全くの未知の国なのである。何故未知なのか。それは、正式な使者を送っても入国叶わず、密偵を放った時もあったらしいが…帰って来なかったそうである。


 保護した2人が瀕死の状態だった事から、また命を狙われる可能性を考慮して先ずはディラント領主の邸内に移す。


 自慢ではないけどウチは警備が完璧なのです。何故って、私の誘拐事件があったことで、貴族の屋敷の中で1、2を争うほど警備が厳重なのです。直ぐ隣に領軍の施設も併設してある事で更に攻撃力も兼ね備え、有事の対応も万全の体制となっております。


 現在ダンジョンの封じ込めに成功してるから、魔の森の脅威はもう無いものと考えていい。だから外国からのちょっかいに集中できるのよね。


 父様はソレストさんとクレストさんとお話があるようなので、私はあの2人の様子を見に行こう。


 救護室に行くと、エルドと同じか少し上くらいの金赤色の髪の幼女と濃い茶色の髪の青年がベッドに横たわっていた。まだ意識は戻ってない様だ。


 青年の方は助けた時にチラッと鑑定してわかってる。


 グリマス・リグトス子爵。聖騎士。そう、現在王都の牢に捕らえられているグロルド・リグトス元子爵の血縁だろう。称号を視ても息子とかは書いてないから分からなかった。


 今度は女の子の方を鑑定してみた。


 …グランダ皇国マリアナ・ル・グランダ皇女。あら、妹や娘じゃなかったのね。てっきり家族で亡命でもしたのかと思ってたんだけど。正真正銘のお姫様だったよ。


 と、お姫様の意識が戻ったみたい。


 でも、とても苦しそうな感じ。身体の傷は治したから、痛みとかはない筈なんだけど精神的な苦痛が残ってる感じかな。


 一体何があったのか。


 心の癒しなんてどうすればいいか全くわかんないけど、取り敢えずヒールと浄化を掛けておこう。


 うん。少し呼吸が楽になった気がする。もうすぐ目を開けそう…開けた…きれいな菫色、アメジストの瞳。可愛いっ!


「ここは…どこ?妾は…。」


 おお!妾って初めて聞いたー!マジお姫様だー!


 この子は背中に袈裟懸けの傷1ヶ所だけだったから、全身傷だらけだった青年よりも早く気が付いたのかも知れない。


「大丈夫?怪我は治癒したけど、出血が酷かったからもう少し安静にした方が良いからね。」


「…怪我…皆はっ?!妾を庇って皆怪我して…グリマスっ!」


「彼はあなたを護りながらこの国に来たのよ。酷い怪我だったけど治癒したから命に別状はないわ。まだ意識が戻ってないけど、あなたと同じで出血が酷かったから、まだ安静が必要ね。助けたのはあなたと彼の2人だけで他には誰もいないわ。」


「そうか…妾達だけ…そなたが妾達を助けてくれたのか?今の妾には何の褒賞も出せぬが礼を言う。」


 そして、私は女の子の意識が戻ったと父様達を呼んだ。


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