97 『ステータスオープン』って魔法なの?
冒険者ギルドのマスタールームに転移した。ソレストさんの手配でギルド内に救護室が作られ彼等は移された。
「大丈夫なんですか?ここでは一般の冒険者が入って来ちゃうんじゃ…?」
「ここは一般の冒険者は立ち入りできなくなってるんだ。君が特別なんだよ?」
あ、あぁ…そう言えばそうね。確かにギルドマスターの部屋の更に奥だから、ギルド職員も必要無ければ立ち入らない場所ね。
「傷は君が治癒してくれたから、安静にしておけばその内気がつくだろう。君は領主殿にこの事を報告してもらえるかな?」
「分かりました。王都へはソレストさんが連絡して下さるんですね?」
「ああ、ギルドマスターは冒険者ギルド同士の連絡手段を持っているから、王都の冒険者ギルドマスターに報告すれば良いんだ。だけどそれ凄く魔石が必要なんだよ。だから、本当に緊急の時にしか使えないんだけどね。」
へぇー…通信の魔道具あったのね。もっと普及させればいいのに。魔石くらいならどうにでもなるのにね。
「ですが、王都の冒険者ギルドマスターは…その…大丈夫なのですか?この件は機密事項では…。」
「うん。大丈夫だよ。王都の冒険者ギルドは国王直轄なんだ。因みに王都のギルドマスターは国王様だ。これは王都で登録した冒険者の常識だよ?何しろ貴族学院入学と同時に冒険者登録するんだから、その時知らされるしね。」
早速、父様に聞いてみよ。ついでに国王様から魔道具も譲って貰えないか聞いてくれないかしら。もしかしたら、私それ参考にして作れちゃうかもしれないもん。
「成る程ね。それじゃソレストさん、私帰りますね。また様子見に来ますから。転移。」
◇◇◇
ふぅー…やっと帰って来たよ。
ハクはやっぱり私に抱っこされて寝てる。ベッドの上に載せても起きる気配がない。…寝過ぎじゃない?可愛いから良いんだけどね!
さて、父様に報告に行かなきゃね。
一階の執務室の扉をノックして入る…父様が待ち構えていた。
どうかした?
「フィア…。少し聞きたい事があるのだが、エルドの事だ。」
んん?エルド?あの子弓の扱い方でも聞いたのかしら?それにしては父様の様子がおかしい。
「エルドがシルリーナにこう言ったそうだ、『ステータスオープン』をフィアに教わったと。」
「あ、はい。確かに言いました。エルドにそう唱えれば自分のステータスが見られるよと。」
「…ステータスなど普通は見られないのだ。」
「はい?」
「だから、ステータスは魔道具でしか見られんはずなんだ。それも名前と職業とレベルくらいだ。」
「はあ…ええっ!皆んなこれ知らなかった…の?」
うわぁ…マジか。この世界、『ステータスオープン』が普及してなかったのね。新発見ってやつ?じゃあ、エルドに教えちゃいけなかったのかしら。でも、自分のステータスくらい把握しておかないのはダメじゃん。
「だ…駄目だったのしょうか。私、皆普通に使ってるものだと思っていました…。」
ちょっと瞳をウルウルっぽくさせながら上目遣いで父様を見つめてみる。目薬が欲しい!
「う…い、いや。駄目と言う事では無いのだ。今まで誰も発見してない魔法だと言いたかっただけで…。こ、これは誰かに教わったのか?」
これ魔法なのかしらね?
伏し目がちに首を横に振って否定してみた。
「なら、おまえが発見した凄い魔法なのだ。そんな顔をしないでくれ。これは大発見なのだ。国王様にお知らせするつもりだが、フィアは構わないか?駄目だと言うなら、報告はしないでおくが…。」
「いいえ。父様、皆の為、この国の為になるなら、どうぞ広めて下さい。」
なんだ…私怒られてる訳じゃなかったのね。それにしても『ステータスオープン』が普通じゃなかったのは驚きです。そもそもあれは前世で召喚された時テキトーに探し当てたものだったしね…。




