88 次は魔の森に建物を
夕食を食べ終えて、エルドを連れ部屋に戻ると、ハクはまだ眠っていた…幾ら何でも寝過ぎじゃない?
「ハク?起きて。紹介するわ。この子はエルドレット、私の大事な弟よ。仲良くしてあげてね。間違っても怪我とかさせないでね。わかる?」
名前を呼んだ瞬間にハクはすぐ目を開けた。ぐっすり眠っていたわけではないのかも。それとも、従魔になったから?
『おはようフィア…うん。わかる。フィアとおなじ、においする。なかよくする。』
エルドが恐る恐る手を伸ばすとハクは、近付いたエルドの手をペロッと舐めた。
エルドは嬉しそうにこちらを向いて笑顔になった。
そして、ハクを優しく撫で始めた。
私はエルドに、なるべく早く戻ってくるねと言い、父様の執務室へ向かった。
ノックして執務室へ入ると父様、母様、兄様、兵長がいた。
「ああ、フィア、待っていた。明日からの計画だ。魔の森までの街道は既に今日造り終えたのは確認させてある。次はダンジョン周りの建物を造ってくれるか?だが…魔力は大丈夫なのか?」
んー…何て答えようかな。魔力の回復速度が異常に早い。既に満タンですね。
「はい!大丈夫です。魔力ポーションを錬金出来ますのですぐ回復出来るんです。父様達も必要な時は仰っていただければすぐにお渡ししますよ。」
後で魔力ポーションと称したオレンジジュースを創ってみよう。勿論トレント由来の方も作ってみるけど。ソレストさんが苦いって言ってたから、いざという時に誰かにあげちゃおう。あ、自分で飲むつもりは全く無いです。
そういえば、兄様におやつでハンバーガーを食べて頂こうと思ってたのに…。まあ、ソレストさんのお陰で効果は判ったから、また今度でもいいや。
「…そうか。大丈夫なら良い。それと、南門町は街の職人達に造らせる事にした。あそこなら街と隣接していて魔物に襲われる危険も少ないから大丈夫だろう。建設に時間がかかるだろうが、魔の森のダンジョンの準備が整うのも時間がかかるだろうから丁度良い。」
「はい。明日朝食後に冒険者ギルドのギルドマスターを魔の森までお送りする予定ですが、父様達は如何されますか?」
「そうだな。私も行こう。領軍の魔法士数人も連れていく。魔の森ダンジョンの魔物をちゃんと倒せるかどうか確認せねばならないからな。」
そうね、私の精霊ちゃんならワンパンでやっつけれるけど、一般的な魔法士さん達がどれくらいの攻撃力なのか試してみないとね。
さあ明日から、魔の森の開拓とダンジョンの安定、頑張ろう。
ディラントが安全で住みやすい街になり、且つ発展するようにね。
父様のお話が長引かなくて良かった。
私はエルドの話を聞く為に急いで部屋に戻った。




