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1異世界召喚

初投稿です。宜しくお願いします。

 

『はやく老後にならないかな…少ない年金でも贅沢しないでささやかに穏やかにまったり暮らしていければ満足なのに』


 部屋の中でボーッと過ごすのが好きな私はこんな事を考えていた。


 あ、もちろんボーッとするのも好きだけど、ゲームしたりラノベ読んだりするのも好きだよ。


 引きこもってもいいって言われたら、一歩も外にでないよ。きっと。


 でも、人間そんなわけにはいかない…働いてお金を稼がなければならないし、買物する為にはどうしても外に出ないといけない。


 まあ、自宅で働くとか、ネットで買うという方法もあるが、そうすると宅配の人が来る。その相手をするのが好きじゃない。お金持ちなら、人を雇ってって事も出来るだろうけど、私は普通の頭脳に才能のカケラもない平凡な人間なので、大金を稼ぐとか人を雇うとか無理だし。


『宝くじ当たんないかなぁ…買ってないからそもそも当たらないんだけどぉー。』


 なんて、いつもの如くボーッと考えていただけのはずだったのに。


 は?


 えーっと…。


 これは。


 どゆことっ!?


 さっきまで自分の目の前にあったコタツは消えていた。


 そして暖かい部屋の中で暖かいコタツに入りながら食べようとしていた某メーカーのバニラアイスも…。


「はあっ?!どこ行った?アイス!溶けすぎちゃうじゃん!」


 私は思わず四つん這いの格好で、辺りの床をバンバン叩いて、無いと分かりつつも探してしまった。現実逃避。


 私の部屋じゃないなぁ。赤い絨毯だなぁ…と再認識してると。


「これは本当に勇者か?」


 声が聞こえた。


 はっとして、周りを見渡して愕然とした。


 こういう時は…れ…冷静に。冷静に。分析を…。


 うわぁ…マジか…中世ヨーロッパ風の鎧とか。やめて。タイムスリップとか…まさかの異世界召喚とか?そんなのはラノベで読んで楽しむだけにしたい。


 …ん?《勇者》って言った?


 最悪だ。きっとほぼ異世界召喚の方だ。


 そうなら何か聞かれる前に確認しておこう。


 ステータス?ステータスー!ステータスオープンッ!


 あ、開いた。ラノベ読んでて良かったよ…


 ルリ・サイタニ(人族)

 聖女

 Lv1

 LP100/100

 MP100000/100000

 AT10

 DF10

  魔法 :神聖魔法

  光属性魔法

  空間魔法

 スキル:鑑定

  言霊

  結界

  言語理解

  称号 :召喚者 女神に愛されし者


 …なんかいろいろ突っ込みたい。いつ女神に愛されたのか…会ってもいない。しかも私にそんな趣味は無い。普通に男性が好き(特に2次元のイケメン)。


 多分その愛されってのは、慈愛的な感じだろうとは思うけどね…LP、ライフポイント。100。普通?なのかも。それに比べてMP、魔力だよね。なに10万って。桁が違う。そして無知ながらなんか解ってしまう…AT攻撃力、DF防御力、10って。弱すぎ。


「そなたは勇者か?」


 正面の玉座的なところに座っている人、王様かな。なんか聞かれてる。


 違うし。私聖女みたいだし。どう答えよう。


 もし、勇者じゃないのが分かったらどうなっちゃう?帰してくれる?…まさか殺されないよね?


 そもそも、日本語で喋って通じるのか…あぁ面倒だし…帰してほしいなぁ。


「早く答えぬかっ!」


 斜め前に立っていた鎧の人に怒鳴られた。怖い。


「も…申し訳ありませんが私は勇者ではありません。」


 うう…思わず謝ってしまった。こちらが悪いわけでは無いのに。ただの小市民なので。やはり権力者には弱いのよ。


 そして、ここで嘘でもついたらヤバそうなので、勇者では無い事実だけを伝えて、聖女だとは伏せておこう。なんか、利用されるのは嫌だから。


 帰してもらえるなら、それが一番いい。でも、もし、帰れないなら…?


 ラノベである展開でよくあるのは、この国が…この王様が善いか悪いか。それ次第で留まった方がいいのか放逐された方がいいのかが決まる。


 まず、王様。カオが悪役っぽい(好みじゃない)。太ってる。服装がやたらキラキラ豪華。困ってる感…ナシ。


 周りの人達にも疲弊感…ナシ。


 あー…これ、悪い方だ。放逐コース選択がベストっぽい。


 放逐コースなら、とりあえずの生活費とか、最初の冒険者登録とかのイベント用のお金とかを分捕らないとマズイ。


 なにか話し合ってるみたいだけど…


「すみません。勇者ではないのです。当然、私を元の世界に帰していだだけるのでしょうね?」


「………」


「お願いいたします。私を帰していただきたいのですが。」


 もう一度言ってみた。


「…本来なら、魔王を倒せばその時点で返還の魔方陣が出現し、勇者を帰すことが出来るのだ。」


 …テンプレ。ホントかウソかわからないけどね。


「…帰れないのですね。私はこの通りただの無力な女です。このお城では厄介者でしょう。それならば、この後私がこの世界の住人としてやっていく為の物を少しだけ頂けたら、これ以上は何も言わずすぐに出て行きましょう。」


「チッ…わかった。適当に見繕おう。」


 ええー…今、舌打ちしたよね!チッって!


 王座の間を連れ出され、しばらく待てと小部屋に入れられた。


 …閉じ込められないよね?


 そんな心配をしていると、兵士らしき人が大小の麻っぽい袋を持って戻って来た。


 受け取ってチラリと中を見てみると、大きな袋に武器と堅そうなパンみたいな物、小さな袋にお金らしき硬貨が入っていた。


 そして、城門まで連れてこられた。


 そこにはあまり豪華では無い馬車があり、それに乗せられた。


 …あまり見られたくないのだろう。王城から女が追い出されるところなど。


 どこまで運ばれるのだろう。まさか奴隷商とかに売られないよね?怖くなった。


「どこまで行くのですか?適当に街の中で降ろしていただきたいのですが?」


「……」


 兵士は答えない。


 これは本当にヤバそう。殺されるかも。着くまでにまだ時間はあるはず。今のうちに何か身を守るスキルか魔法を探してみよう。


 まず、荷物が重くて走って逃げられない。ストレージとかアイテムボックスとかに入れたい。


 小さな声でぶつぶつとつぶやいて確かめてみる。


「…ストレージ!アイテムボックス!」ダメか。


 うーん。「入庫?」


 その瞬間触れていた麻袋が消えた。車かっ!


 まさかの日本語でした。これは、空間魔法じゃなくて、言霊かな。出す時は…出庫かな。


 何故か入っているものが判る。


 劣化ナイフ1

 呪われた剣1

 魔物寄せ1

 携帯食料6

 金貨3

 銀貨10

 銅貨10

 麻袋大1

 麻袋小1


 劣化ナイフ。すぐにダメになりそう。


 そして、なんか変なモノが混ざってる。呪われた剣?なにコレ。怖いよ。それに魔物寄せってことは、街の外に出てもすぐには殺されないのね。あくまでも、魔物に殺されちゃったーってしたいのね。


 悪意を感じるよ…。


 …何も分からないと思って食料の中に紛れこませたんだろうけどね。入庫すると自動で分別してくれるみたいで、何があるのか一目で判るようになってて便利。まずはこの物騒なモノ捨てないとね!


「出庫。」魔物寄せ。


 そっと馬車の荷台の隙間に押し込んでおいた。


 呪われた剣は浄化とかしたら使えるかも。私、聖女だし。それまでは入庫したままでいいよね。浄化出来たら売るとか。装備しなければ呪われないだろうし。


 怪しまれるので空の麻袋二つを抱えて持っておく。中身が無いのでちょっと不自然かもだけど、抱えて腕で隠しながら持てばいいと思う。


 その後、ステータスの確認やスキルの確認をしていると、馬車は街の出口らしきところをフリーパスで通過して街の外に出た。


 しばらく移動した後、馬車が止まり降ろされた。



不定期更新になります。

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