漢らしいぜ、乙女たち
いきなりの改稿すみません。
時系列的にわかりにくかったので、順番の入れ替えを行いました。
またそれに伴い、『12騎士物語』を2節目に挿入し、改稿しました。
正確にはこのお話の元となった一文を追加しました。
「では、クルス君が私たち『メープルガールズ』のメンバーに入ったところで、早速ミーティングを始めたいと思います」
「パチパチパチ〜〜」
オカリナが、テンション低めで合いの手を入れるのを、微妙な顔で見守りながら、クルスは頭を抱えていた。
分かりやすく表現すれば、「なんて乙女チックなチーム名なんだ!」といった感じだろうか?
「ところでエッタ、あたしいきなりすごい事にに気づいちゃったんだけど!」
「なんとなくわかる気もするけど、言ってみてチェルシー」
「うん。初めて知ったんだけど、実はあたしたちって・・・・・脳筋だよねっ!?」
ばばーーーーん!!!
新たな真実に誰もが目を逸らしてしまう。
「いやーーっ、やめてっ!?わかってはいたけど、はっきりと言われるとやっぱりショックだから!!」
「大丈夫、エッタは槍振り回してても、超可愛い」
聞きたくなかったと耳を押さえているヘンリエッタ。
以外や以外。
新しく加わったクルス含め全員が前衛職、見事なまでに攻撃特化のチームであった。
「敢えて言うなら、スカウトのチェルシーさんが頭脳派だね」
「おっ、流石クルス君、わかってるね!けどあたしなんかを喜ばせて、いったい何が目的なのかな?」
「うりうり〜、言ってみ?」と小突いてくるチェルシーは、嬉しそうにニヤニヤしている。
「やはりケダモノ。でもチェルシーならオッケー、獣同士仲良くやって」
とんでもない誤解だと慌てるクルスと、「獣じゃないし!」と怒るチェルシーを、オカリナはのらりくらりと躱している。
「もうみんな真面目にやろうよ。何かいい案はある?」
「せっかく回復出来るクルス君がいるんだから、彼を中心にフォーメーションを組むとか?」
「今からでも、後衛担当を募集する。このままだと勝ち進むのは難しい」
「そうね、クルス君は?」
ヘンリエッタはクルスにも意見を求めてくれる。
クルスはこの時少しだけ、仲間と言うのもいいかも知れないと感じたのだった。
「俺はオカリナさんに賛成かな、あまりにもバランスが悪い気がする」
「クルス君もそう思う?後衛といえば、やっぱりサポーター科の子とかかな?」
「いや、サポーターなんて何の役にも立たないだろ。むしろここは魔法科で探すべきだ」
「やっぱり良いよね、魔法使い!あたしもクルス君に賛成っ!!」
クルスはまだ年若い少年だ。
力こそ全てという考えは仕方がないとも言えるが、だからこそ彼自身も剣士という職業を志望したのだ。
特にクルスにとってサポーターとは、過去にいろいろとあってからは、絶対に認められないと思うようになった経緯があるのだった。
◇
そうして味方を探してみたクルスたちではあったが、もとより魔法使いや結界師といった後衛職は人気職で、どこからも引っ張りダコだ。
そうそう簡単には見つかるはずもなく、結局はこのメンバーで挑む事になった。
組み合わせはランダムで計5回戦行い、3勝2敗。
一年のトップ2が組んだチームはきっちり5勝決めていたが、まずまずの結果ではないだろうか。
しかし、その戦闘の内容は酷いもので、
①突っ込む→②回復→③押し切る
の完全物量戦法であった。
チームの戦力バランスは中の上といった所で、中でもオカリナが一番の実力者であるのには驚いた。
全体的には2年生チームが勝率7割を占め、その力量の差を見せつける結果となり、メープルガールズはクルスという回復役が分断され、各個撃破されるというパターンをどうするのかが、今後の課題として上がった。
ただ攻撃力に物を言わせまくったせいで、もしかしなくても一年で最も漢らしいチームだと、学校中に認識されてしまった。
そういいながら落ち込むヘンリエッタはいっその事チーム名を『脳筋ガールズ』に改名しようといい出した時は、みんなで止めに入った。
「残念だったけど、初めてにしては悪くなかったんじゃない?」
「そうだね、クルス君の回復がなかったら、正直押しきれなかったかも」
「エッタを投げ飛ばしたあの2年生、顔覚えた」
それぞれ反省点も見つけ、次の模擬戦に対して意気込みを見せる事で、ヘンリエッタを慰めたのだった。
◇
今回は、こうして仲間に入れてもらったクルスは仲間の大事さを改めて知り、これからは少しずつ友達や仲間を増やそうと決めていた。
「ヘンリエッタさん、チェルシーさん、オカリナさん。今回は本当にありがとう、仲間に入れてもらえて凄く嬉しかったよ」
しんみりした空気にするつもりはなかったけど、ついそんな言葉が出てしまった。
しかし、そう告げたクルスを見るみんなの顔は、全員が不思議そうにしていたのだ。
「何を言っているのクルス君、次だって一緒のチームだよ?」
「そうそう、タダでさえ脳筋ガールズなのに、回復役いないとかあり得ないって」
「これだけ世話になっておいて逃げる?まだまだこき使うから覚悟するべし」
どうやら、一人寂しく感じていたのはクルスだけで、ヘンリエッタたちは既に受け入れてくれていたようである。
「みんな・・・」
「あ、今クルス君がちょっと潤っとしてた!」
「こらっ、余計な事言わないの!」
ちょっと泣きそうになったのを、目ざとく見つけたチェルシーがクルスを弄り、それをヘンリエッタが注意する。
たった1日の事なのに、もうずっと前から仲間だったかのような空気が、この場を包んでいた。
クルスが、予期せずしてこんなにいい仲間たちを得ることが出来たのは、間違いなくフレイヤ先生のお陰だ。
きっとこれからのクルスは、あの先生に頭が上がらなくなるのだろう。
それを少し悔しく思いながらも悪い気がしていない事に、クルス自身が驚いていた。
「はーーい、皆さんお疲れ様っ!!結果はどうだったかな?良かった人も悪かった人も、それが今のあなた達の実力です!」
噂をすればそのフレイヤ先生が最後の訓示をのべている。
「まずは、今日来てくれた2年生の皆さんに、礼っ!!」
「「「「ありがとうございました!!!」」」」
澄みきった青空に、一年生たちの声が響き渡る。
軍とまでは行かなくても、この学校ではある程度の規律や、ケジメというものが存在する。
「そして次回っ、今度は実践でダンジョンに潜ってもらいますっ!正確な日時などは追って連絡しますので、その日までは各自鍛錬を怠らないように、では解散っ!!」
いよいよだ。
やっと実際にダンジョンに潜る日がやって来る。
周りはあちこちで興奮する声が上がり、すぐ隣ではヘンリエッタたちが、クルスの方をを向いて笑っている。
「どう?ダンジョン行くなら、仲間が必要でしょう?」
「優しいエッタに感謝する。でなければ今頃一人で泣いていた」
「まぁでも、もう逃がさないんだけどね!」
ここまで言われて迷うようでは、冒険者どころか男として失格だろう。
なによりこれ以上の仲間はいないかもしれないとさえ感じていた。
「ああ、そうだな。まだ力不足だけど、これからもよろしく頼む!」
クルスは最高の笑顔とともに、彼女たちに応えた。
クルスはやっと、本当の意味での冒険者として、その一歩踏み出し始めたばかりなのだ。
◇
「あれ?」
ーーそれは本当にたまたまだったのだろう。
ヘンリエッタ達が笑いかけてくれているその後方。
クルスのいる訓練場からずっと向こう側に、一つの人影をある事に気付いたのだ。
遠目からなので定かではないが、その特徴的な真っ赤な髪とポニーテールから女性だと推測出来る。
その女性は途中で立ち止まり、暫くこちらの方を見ていたようだが、直ぐにまた歩き去ってしまった。
けれどクルスにはそれで十分だった。
彼女の背負っていた特徴的な大きめの鞄、あれは間違いなく・・・。
「・・・・、サポーター」
次回、赤髪の彼女の正体が明らかに?
なかなか読みやすい文章を書くのは難しいですね。
書きたいシナリオや、説明などのバランスもまだまだ改善の余地ありです。
途中で改稿などするかもしれませんが、細かい修正が多いと思います。
万が一シナリオに変更を加えた場合にはその都度お知らせさせて頂きます。