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『12騎士物語』



改稿および、情報公開を行いました。









ここで一つの昔話をしておこう。

これはこの世界で最も有名な御伽話、どこ国でも一度は親が子供に話して聞かせる様な、そんな物語だ。






それは今からずっと昔のお話。



最悪の魔王と呼ばれる魔物の王がこの大陸で猛威を振るい、脆弱な人間たちは精霊たちの力を借りて、その数を減らしながらも何とか持ちこたえていた時代のお話。



そんな中、一人の老魔術師がとある魔法を編み出した。



彼は戦ばかりの毎日に疲れ果て、絶望し、そんな先の見えない未来に残される、自分の可愛い孫達に心から同情した。


だから彼は残り少ない人生の全てを掛け、自分で創り上げた未来を切り開く為の魔法を携え、勇敢な仲間たちと共に魔王に挑んだのだ。



この歳まで生き残っている、熟練の魔術師である自分。


国の存亡を背負い、その一筋の可能性に賭けた若き賢王。


精霊たちの祝福を一身に受け、凡ゆる知識に精通したエルフの巫女。


その身を持って、魔物の猛攻を受け止め続けて来たドワーフの将軍。


他にも幻獣使い、結界師などいずれも英雄と呼ばれるようなもの達が参戦し、総勢12名ものメンバーからなる錚々たる顔ぶれを揃えて、決戦に挑んだ。




しかし、そこまでしても戦いは困難を極めることとなる。


途中幾人もの優秀な仲間を失いながら、魔術師はジッとその魔法を発動する機会を待った。






そして、とうとうその機会は訪れたのだ。




「来たれ、永遠の監獄っ!!!その螺旋の狭間にて彷徨い続けるがいいっ!!!!」




老魔術師が発動したその魔法の名は、“無限回廊”。



人の手には余るほどの力を持つ魔王を、例え滅ぼす事は出来ずとも、封じ込める事は可能に違いない。


そんな発想から創りだされたこの魔法は、魔王の猛々しいまでの魔力を利用する事により、頑強な結界の中に閉じ込めるというもの。


相手が強ければ強いほどその効力を発揮し、より強力になっていく仕組みを、魔法陣に組み込んだのである。




そしてその封印の依代として選ばれたのは、エルフの巫女が特別に用意した特大の賢者の宝玉。

所謂、賢者の石と呼ばれる秘宝でさえ霞むほどの、正に神秘の輝石である。




「矮小な人間共め、小賢しい真似をしてくれたな。例え我が消えたとしても、ただでは終わらせぬ。我を倒した褒美だ、受け取れっ!!そして我をもっと楽しませて見ろっ!!」




そうして魔王は結界の隙間から、自らの力の一部を世界にばら撒いてしまった。




解き放たれた力は黒に限りなく近い紫紺色の光。


聞かずともそれが悪意の塊である事を、誰もが理解出来るほどの、禍々しい魔力の結晶であった。



後にその結晶は核となり原初のダンジョンを生み出した。


遅ればせながら、その事に気付いた勇者たちは、自らダンジョンに挑むものの叶わず。

ダンジョン踏破の望みを子孫に託したのだった。






ここまでが皆の知る、『12騎士物語』であるが、実はこの話には続きがあるらしい。




それは口伝にも、絵本にも記されてはいない、王国の金書庫の中でも最奥にある、たった一冊にのみ記されている13番目の英雄。



語り手たちがなぜ記録を残さなかったのか。


一説には13という数字をそのものを、縁起が悪いとされたからとも言われているが、定かではない。



しかし、12英雄全員の補佐をしたとされる英雄が、確かに実在したのだと記録されているのだった。






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