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対策として

 ようやく本格的に主人公の能力説明に入れそうだ。え?今更って?気にしたら負けだ。

 こっから数話は主人公のガチート能力の説明して終わりそうで怖いな~

 感想、コメント、指摘など募集中なので気になったらコメントください。おねげぇします


 「ふあぁ眠みぃ」


 翌日、俺はいつも通り登校していた。遅刻などといった不真面目な素行をすることなくいつも通りの時間帯だ。なに、朝のHRが始まる八時三十分までに教室に入ればいいのだ。登校時間は約十分くらいだから八時十分にマンションを出れば余裕。

 

 「それにしてもいつもより瞼が重いな。……はしゃぎ過ぎたか」


 女の子、それもランカーであり、美少女と名高い静城と連絡先を交換し、会話をする機会ができたといって「ついにモテ期きたか!?」などという流石に仕様もない高校生男子特有の勘違いは起こらないが、まぁ、こんな俺でも多少は期待を持つものだ。

 

 一口に期待と言っても、普通は思春期特有のアレコレを想像するのだろう。それは正しく健全であり、良い事だ。

 だが、俺の場合は少し違う。


 世に十人しかいないランカーの内、一人の連絡先を知れたのだから、あと九人の内誰かの連絡先も知れるのではないか、という淡い期待だ。

 

 その期待を一身に、静城へ他のランカ―の連絡先を持っているかの確認をするか、しないでいるかを迷っていると、気づけば結構夜遅くまで起きていることになってしまったのだ。

 結局は送っていないが、ここまで眠いとは思わなかった。

 

 そんな風に、通学路を歩きながら目をこすっていると、スマホから『ピロンッ』という通知音。


 「ん、通知?」


 この独特な通知音はL○NEの通知だと即座に理解し、歩きながら画面を開くと同時に少なからず驚く。

 その相手は静城だった。


 因みに良い子のみんなは歩きスマホ、気を付けようネ。

 俺? 良いんだよこれでも周りは見えてるから(体のいい言い訳)。


 その内容を確認して、少し笑う。

 昨日の今日だが、その方が俺も静城も都合がいいのかもしれない。


 『今日の昼休み屋上来れる?(*´・д・)?』


 それにまた面白い顔文字使いやがって、通学路で変な笑いして不信に思われて挙句の果てに警察に通報とかされたらどうすんだよ。……意外とありえそうで怖いな。

 気を付けるに越したことはない。


 とりあえず昼休みに予定なんて特にないし、折角の誘いを無下にすることは良心が痛むので行くことにしようか。

 

 『行けるから昼休みに屋上集合でいいか?』


 そう打ち込み少しの間を置いて、


 『(>Д<)ゝ”了解!』


 と、またもや顔文字を使ってきたので無駄な対抗心からこちらも同じ顔文字を選択して返事をした。

 いつもより少しいい気分で登校ができたことでほんの少し上機嫌になりながらも俺は歩を進めた。


 

 ◆◆◆


 

 学校へつき、昇降口を抜けて教室へ向かう。すると何処からか耳に入るのは噂話だ。

 対して聞くつもりもないものでも、俺の耳は敏感に反応しその内容が嫌でも入ってくる。


 「ねぇ、昨日のランク勝負ってこの近くでやってたんだよね? 誰と誰が勝負してたの?」


 「それが、あのランク二位の静城さんだったんだ!! うち丁度見てたんだけどすごかったよー! 相手の攻撃が全部当たらなくてさ~……」


 ……やっぱ昨日のやつ噂になってやがんな。こんな状態で俺の話が聞きたいがために静城は学校来るんだよな? 大丈夫なのかこれは。

 今まで全くと言っていいほど気にしてはいなかったが、たった一日で奇異の目で見られる身分というのも、考え物なのかもしれない。

  

 「でもさ、やっぱズルいよね~<空間操作>なんて能力。どんな攻撃だって当たんないし。しかも容姿良いしね。あんまししゃべんないし、どっかで私達のような一般の能力者見下してたりしてね~。なんかムカつく。」


 「あぁ~……。まぁ確かに勝負の後とか何考えてるかわかんないしね」


 俺はその話をしていた女子達の方に歩きながら視線だけ向ける。

 ああいう話をする奴はどこにでもいる。そいつらは本人が聞いていないからって平気で好き勝手にものを言う。強すぎれば妬まれ、弱すぎれば嘲笑の対象となる。そういうのは嫌いだ。


 そういうことを言って内輪で盛り上がっている奴らこそ、上辺だけで付き合っている軟弱な関係なのだ。

 蟻の様な穴が開くだけで、直ぐに崩壊するような関係を、果たして本当に友達と定義していいのか、分かったものではない。


 そんなこんなで、俺は教室の前へたどり着く。全く、朝から嫌なものを見たものだ……。


 「おはよ。」

 

 そういって俺は教室の扉を開けた。


 「おお、おはよう黒谷! 昨日のランク勝負ってお前見てたか?」


 そういって俺の挨拶に応えてくれたヤツは遠見真司(とおみしんじ)。クラスメイトで、一年の時から同じクラスだ。

 こいつは結構ノリがいいやつで、クラスでも人気(友達的意味)である。髪は金髪で目は黒目。

 だからと言って髪は染めているとかではなく、能力が身に付いた時に勝手に変色したらしい。

 朝初めて見た時に俺の目が「スッゲェ怖い」とのたまったのはコイツ。


 因みに、この高校は一年から三年まで六クラスずつあって、俺のクラスは三組だ。


 「ああ、現場で見てたよ。」


 「マジか! 羨ましいなおい! それで、間近で静城さんを見た感想がどうだ?」


 「は?」


 何を言うとんじゃコイツは。

 ランキングバトルのことじゃなく、静城個人のことを何故今聞く?


 「いや、あれほどの美少女だぞ。なんかないのかおい!」


 「なんで俺がそんなもん言わなきゃなんねえんだよ。あと鬱陶しいから寄るな。」


 「なんだよつまんねぇな……。」


 こういうのがなければ基本いいやつなんだがな。

 ああ、うん。本当に。


 「じゃあ、()()()()()()()()()()()()()()()()?」


 「できたけど、まだ実戦じゃ使い物になんねぇよ。精々が見える範囲で動かすくらいだろうな。」


 「おお! お前なら出来ると思ったぜ! これでまたうちのクラスの戦力が上がったぜ。」


 「俺の話聞いてたのかお前は。まだ使い物にならねぇよ。」


 「それでもだ。ランカーの能力を使えるようになったんだし、これで月一のクラス戦でいい成績が残しやすくなったな。」


 「ああ、ハイハイ……。」

  

 今の会話を聞けばわかるだろうが、俺は基本学校では『アクセス権』の能力を表に出さず、能力コピー系の能力者としてこの学校に通っている。

 どうしてそんなしち面倒なことをしているのかという理由はこの際省くとして、今日の静城との話はこれについてしようと思っている。

 あそこまで強力な能力を持っておいて何故有名ではないのか、という至極当然な疑問への回答になるので簡単に言えば「丁度いい」のだ。


 『キーンコーンカーンコーン……』


 といったところで鐘が鳴る。

 朝のHRの訪れによりクラスメイトはだんだんと自分の席へ座り出す。

  

 「お、もう時間か、休み時間にまた聞くからなー。」


 といって遠見は席へ戻る。俺も席に戻って朝のHRを受ける姿勢に入る。

 別にいつもならはいそうですか、と早々に追い払っている所だが、これは少しマズイ。


 もう既に静城とは昼休みに会う約束をしているし、何より遠見に静城と知り合ったことを知られればどんなことを言われるか最早想像できない。


 まずは遠見の追及をどう回避し、どうやって昼休みになるだけ静かな状態で静城と会うか。

 それを考える為にまず五限目の授業がなんだったかを思い出す所から始めて、後の事は後の俺に任せるしかない。


 そう思案しながら、俺はただHRを待ったのだ。


 その後のHRでは「転校生が来た!」だとか、「重要な連絡がある」だとかそんなラノベよろしくテンプレな展開を見せることなく、平穏に過ぎる。

 強いて言えば中間テストが近いから勉強しておくようにときつく言われたくらいである。


 それから一限目から四限目をどうにか終わらした。

 

 その間の休み時間中の遠見を回避しつつ、だ。

 いつも以上に精神的な疲労を抱えながらも昼休みまでやっとこぎつけた。


 当然質問を回避するごとに遠見のしつこさは比例していき、そのせいもあってか俺の疲労は倍増していったと言っても過言ではなかった。

 

 「さて、後は屋上に向かうだけだが……。」


 なんとなしに呟く。そう、向かうのはいい。ただ――――――、


 「どう回避するか。」


 これに尽きる。

 一応俺の鞄から紅葉が作ってくれた自称愛妻弁当(デレは皆無の模様)は取り出した。因みに弁当を包むナフキンは普通である。

 遠見のボルテージは四限目までの休み時間を回避してきたために高い。


 「さて、黒谷。聞きたいことがあるんだがいいよな?」


 若干威圧しながら遠見が近寄ってくる。が、モーマンタイ。俺は数ある()()()()()()()()<高速移動>の()()()()()()()、教室をダッシュで出る。「まてー」とか聞こえるような気がするが気のせいだ。


 廊下を疾走し、階段まで来ると今度はそれを()()()


 そのまま一階の職員棟へ続く渡り廊下にでてみるが、幸い昼休み直後であまり人がいない。

 それはそれで好都合。そして俺はあいつが追いかけてくる前に解析した<空間操作>の能力を引き出し、()()()()()()()()

 イメージはまだ雑というのも烏滸がましいほどだが、成功さえしてくれれば後はどうにでもなる。


 集中し、どうにか必死にイメージを固める。

 ……すると、一瞬の浮遊感の後、狙った通りに屋上に俺はいた。


 だが、()()に。

 

 「あ、やば――――――、」


 下を見ると屋上までの直線距離はおよそ三mくらい。

 このままいけば体を強打して打撲、当たり所が悪ければ捻挫くらいはしそうな勢いは着いていた。

 うん、素直に痛そう。


 そう思い解析した能力の中から使えそうなものを引き出そうと思い立った時にはもう、地面に腰を下ろしていた。


 ん?


 当然、それまで一切の時が止まっていたかのように全く状況を理解できない俺の耳に、鈴の音の様な声が聞こえてくる。


 「……馬鹿なの?」

 

 心底疑問に思う声で俺を見下(みおろ)す静城の姿がそこにあった。


 「……屋上に来てって、送ったけど、……飛び跳ねて待っててとは、言ってない。」


 「いや、その実はな――――――」


 あらぬ誤解を受けたが、それまであったことを簡単に説明してどうにか理解はしてもらった。


 その途中、どんな方法を用いたのかも。

 

 「……てことは……アクセス権を使って、人の能力を解析……できるの?」


 「ああ。で、解析した能力をそのまま模倣するんだ。そうすればいつだってその能力が使えるし、仮にアクセス権が使えなくなったとしても対策になる。」

 

 静城は俺の言葉に顔をムッとしかめる。

 

 「……ズルい。」


 眉を寄せたままボソリと呟き苦汁を漏らす。


 「ハハハ、後は食べながらゆっくり説明してやるよ……。」


 「ムー……」


 一先ずは話題を逸らせることに成功したようだ。もしも相手が紅葉ならこうはいっていないだろう。

 そう言いながら俺たちは互いに弁当に手をつけ始めたのだった。


 

 宣言しておきますけど主人公は能力者如きには決して負けません。

 なので能力者との苦戦を期待している方、待っていてください。劣勢にはなるかもしれませんがボッコボコにするんで。グフフ

 感想、コメント、指摘など募集中なので気になったらコメントください。おねげぇします

 2018/8/13、気になる所を少し修正

 2019/8/12、加筆と少々の修正

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