アクセス権
結構間があきましたが続けて4話です。
もっと内容を面白くしたいのですがどうにも文にするのは難しいですね。
誰が見てるかもわからないこんな作品ですが、一人でも読んでくれる人がいらっしゃるのなら頑張って書きたいと思っています。
感想、指摘、気になった事があったらコメントしてください。
その場で固まる静城を見る俺の表情はきっと笑みを浮かべているだろう。
やはり、能力を振るう時はとても楽しい。だが勘違いしないで欲しいのは、俺は決して嘲る様な意味で言ってる訳じゃない。ただ純粋に楽しんでいるだけだ。
貶めたくて使っている訳でも、嘲りたくて使っている訳でもない。それは俺にとって悪なのだから。
なぜなら、その行為はこの能力をくれたヤツを侮辱しているのと同義だからだ。俺を信用し授けた能力で、俺自身がそれを当然の様に振りかざしても意味はない。他人にもらった物を使ってのし上がっても、それは自分の力ではないから、ただの新しいおもちゃを自慢する子供でしかない。
過ぎた力を誤って使えば、それは害悪となる。誤った使い方はとても甘美な誘惑であり、嵌れば抜け出すことは容易ではない。それを間近で見ているからこそ、その怖さをよく知っている。
だから愉しむのではなく、楽しむだけに留める。きっと今も見ているあいつが腹を抱えながら思いっきり笑うようなことを。
それを俺は一緒に見ているような感覚で、更に盛大に口角が釣り上がっているのが分かる。きっと静城には俺の顔が鋭い目つきも相まって怪しく笑っている悪役に見えているだろう。
このまま殺されでもするのかも、と。
だが、俺の考えとは別にある。
俺は右手に持ったスマホを耳に当てたまま、左手に持っていたジュースのペットボトルを足元に置き、歩いて静城へ近づいていく。
その道中、静城はピクリとも動かない。いや、動けない。動き自体を固定化しているから筋肉の収縮も満足にできないので呼吸すらできていないだろう。固定化してから十秒も経っていないから苦しくはないだろうが、さっさと開放するに越したことはない。
……多分、後で説明を求められるんだろうなぁ。面倒くせぇ……。
そして静城の前に立ち、無手になっている左手の中指でデコピンを仕掛けるべく親指で力を溜めつつ耳に当てている通話状態になっているスマホへ一言。
『解除。』
その瞬間からすべての束縛から開放されたであろう静城はすぐに能力を発動しようとする。
だが、既に目の前にある俺のデコピンより遅いのは確実だ。
どれだけ反応速度が早かろうが非能力発生状態から能力発生状態に移行するときには一秒ほどかかるだろう。
さらにはいきなり自由になり体が吃驚するだろうから実際、能力を発動するまでに約二秒ほどかかるわけだ。
対して俺の方は親指から中指を滑らせ華麗なるデコピンを決めるのみ。その間約ゼロコンマ二秒。
その結果は当然、
「あうっ!」
静城の額に俺渾身のデコピンが炸裂し、勝利条件を満たして俺の勝ちとなる。
結構痛かったのか静城はしばらく額を両手で押さえてその場で悶えていた。
そんな姿を可愛いと思ったのは内緒だ。
「んんーーーー!!」
声にならない声を上げている。可愛い。
こう、ウサギや猫を見た心境とどことなく重なるものを感じる。自分の感性に従って可愛いと思うものは可愛いと感じ、逆に可愛くないと思えば可愛くないと感じる。
つまり今の俺は、多分口元がにやけているに違いない。
そうして静城がしばらく悶えた後、にやつく俺を見上げて言い放つ。
「……さっきの、なに!」
若干の怒りが混ざりながら声を上げて先ほどの解答を求める。勝利条件が満たされ敗北を認めているのか、やれ反則だ~などと言わないところは結構好感がもてる所だ、が。
やっぱり聞いてきたか、でもだからこそ――――――
「じゃぁ、俺の能力とか全部教えるからさっき言ったとおり静城の<空間操作>の運用について教えてくれよ」
――――――交渉に入れる。
元より俺の目的は静城の<空間操作>運用の仕方について。
…あと少しの下心。
その運用さえ聞ければ、多少の損は得の内だ。仕様が無い状況だったとはいえ、<アクセス権>を見せたのはやはり面倒だ。
「! いいの?全部教えちゃって。」
「いいよ、ただし条件付きだ。」
「……言って。」
その言葉を聞いて再び俺の口角が釣り上がる。
「じゃあ、教えてくれるってことでいいんだな?」
「……うん、能力運用を教えるだけで、あなたの能力について知れるなら、安いから。」
「わかった。条件を言おう。条件は俺の能力については絶対に他言無用、これだけ守ってくれれば全部教える。もしこの条件に反すれば安全は保証しない。」
「……わかった。」
意外と素直に聞くもんだなと心中で思う。さて、この能力説明も三回くらいになるか。早く理解してもらうように務めるとしよう。
俺の生命線である、真実を混ぜた大嘘を。
「俺の能力を一言で言えば、<言ったことが全て現実となるよう改変できる>能力だ。」
「………は?」
静城はこう考えているだろう。そんなデタラメな能力を使えば、比喩でもなんでもなく全てを手に入れることができると。確かに、いってしまえば俺の能力はなんでもできる能力と行っているのと同義なのだから。
そして当然、理解に苦しむ。
そんな能力が本当に存在するのならば、噂の一つくらいは聞くものだし、今までそんな出鱈目な能力を隠し続けれるはずがないと。
「ただ、制限がある。その一、必ず決まった番号を打ち込まなくてはならない。」
そう言って俺は右手に持っているスマホを提示する。
「その二、俺が改変したいことが本当にできるかどうかは限らない。」
「……?」
静城は困惑の顔を浮かべる。それはそうだろう。なにせ今言っていたことが矛盾するからだ。だが、これは至極単純なことであり、当たり前な理由で「本当にできるかは限らない」のだから。
「今言った二つの制限は繋がっている。なぜなら、俺の能力はもらいものだからだ。」
「えっ!?」
静城が驚きの声をあげる。本来、能力とはその本人になにかしらのきっかけがあり、それを乗り越える。それを経て初めて能力を自覚し行使できるものだ。
それを俺は貰ったというものだから、そんな普通の能力者が通る道を完全に省いて、昨日まで無能力者だった人をたちまち能力者へと変えることができるのだから、驚くのも当然なのだ。
「ありえないと考えるだろうが事実俺はこの能力を貰っているんだ。こればっかりはそういうもんだと思って納得してくれ。」
「……わかった。」
しぶしぶといった感じで静城が頷く。
「で、まだ制限はあるがとりあえずその話は置いといて。なぜ俺が静城の能力運用について聞きたいかだが、ここで一つ訂正を入れる。」
「……訂正?」
「ああ。それは能力のことだ。さっきはより早く理解してもらうために<言ったことが全て現実となるよう改変できる>能力なんて言ったが、実は本質的に全く違う。」
「……それって、初めからホントの能力名を言ったんじゃ、……理解できないの?」
「ああ、絶対混乱する。」
「…………そう。」
確かに面倒くさいとは思うがこれは必要なプロセスだ。
さて、本当の能力名。それを言う前にまず、一つ確認を取らなければならない。
理解を速める、大事なスパイスだから。
「神様って信じるか?」
これを聞かなければ始まらない。
「……神……様?」
これこそ困惑しただろう。能力の話からいきなりぶっ飛んで「神様信じる?」というなんとも理解しがたい質問内容がくるのだから。
焼肉を食べている所に何の脈絡もなく「パフェ食べる?」と聞くようなものだ。
まさしく、理解不能だ。
「いや、全く。……うち無宗教だから。」
静城の答えは、ある程度俺の予想した範囲内だった。
そうだろうな。俺も前までそうだった。深く考えずとも、何かしら悪徳宗教の勧誘とすら思える馬鹿げた質問内容だ。むしろ無宗教だと真面目に答えてくれたことに感謝すらできる。
「実はいるんだよ、神様、それも結構たくさん。そして、大抵の神様ってのは事象において改変権がある。俺の能力はその神の<改変権へのアクセス権を持つ>能力だ。それを略して<アクセス権>って呼んでる。」
俺の能力の全容、その一部を話したところで、静城は完全に驚いた顔を浮かべたまま固まったのだった。
能力の説明は大体できたけどまだ全然できてねぇな~。
てなわけで説明回が続きますが最初の方なのでご容赦ください。
引き続き感想、指摘、気になった事があればどしどしコメントください。
2018/8/13、気になる所を少し修正
2019/8/9、多少の加筆と修正