野田警察署の総意(2024年編集)
~ 千葉県野田市 ~
千葉県の北西部、東葛地域に位置する都市で、人口十五万程度であり、千葉県では、十二位の規模である。
埼玉県、茨城県と隣接し、他県からの流入も多い。歌手のナオト・インティライミが、野田市出身であるのと、観光地である清水公園、キッコーマン醤油が有名で、知名度が高い地域だ。近年では、映画のロケ地として、櫻木神社が話題となり、来客数も、うなぎ登りである。
~ 七月二十日、野田市駅 ~
佐久間たちは、東武アーバンパークラインの野田市駅で下車すると、捜査協力を依頼した、野田警察署の北原朋和巡査部長と合流した。
「千葉県警察本部、野田警察署の北原です」
「警視庁捜査一課の、佐久間と山川です。ご協力感謝します」
「こちらこそ。佐久間警部と一緒に捜査出来るとは、光栄です。捜査依頼を受けてから、野田警察署でも、捜査を開始しています」
二週間前、佐久間は、ある仮説を立てていた。
杉山京介・伊藤奈緒美・田中大介の三名が、各自で暗号を持っており、『全部を持ち寄る事で、窃盗品の場所に辿りつくのでは?』と、考えたのである。
過去の犯罪履歴を照会した結果、三人の中で、杉山京介が履歴に該当した。窃盗容疑で服役していた事が判明した為、これに目をつけた佐久間は、杉山の犯罪特性、三名の年齢から、過去十年程度で、未解決となっている、現金強奪事件などの犯罪を抽出したところ、東京都内で八件、千葉県内で三件該当した。
佐野が紐解いた千葉県野田市では、ちょうど十年前に、現金強奪事件が一件発生しており、佐久間は、この事件に、杉山たちが、高い確率で絡んでいると判断し、野田警察署に捜査協力を求めたのである。
「助かります。では、捜査状況と、当時の犯行現場を、案内して頂きたい」
「野田警察署が、野田市駅から近いので、捜査記録からお見せします。その後、隣の梅郷駅に移動して、犯行現場を案内します。署長に挨拶をお願いしたいのですが、少しだけ、卑屈というか、偏屈なところがありますが、目を瞑って頂けますか?」
(………?)
佐久間たちは、野田警察署に案内されると、まず、野田警察署長の鈴木淳一郎に挨拶をした。
「警視庁捜査一課の、佐久間と山川です。今回、警視庁で追っている事件で、野田警察署管内で、過去に発生した、現金強奪事件に関係があると判断し、捜査協力をお願いしました。野田警察署には、感謝いたします」
(………)
「ふん、捜査依頼は承ったが、結果は期待しない事だ。野田警察署管内で、十年間、何も進展しなかったんだ。警視庁が出てきても、何も変わらんさ。部下は使って構わんが、出過ぎない事だ。せいぜい、野田警察署の空気を読んで、行動するんだな」
(………)
(………)
警察署長室から出た佐久間たちは、一旦、空気を入れ換える為、外へ出た。
山川は、怒りを露わにして、佐久間に不満をぶつける。
「野田警察署の署長は、何様なんでしょうか?署長があれでは、捜査になりません。千葉県警察本部経由に切り替えますか?…あまりにも、警部に対して失礼だ」
(………)
「まあまあ、山さん。野田警察署の協力は、必要不可欠だ。警察署長も、捜査には口を挟むまい」
間髪入れず、北原が説得に回った。
「佐久間警部の仰る通りです。野田警察署長のは、無視して構いませんよ。昔から、消極的署長で、千葉県警察本部内でも有名ですから。その分、部下が率先して、捜査協力します。野田警察署としても、何とか解決したいんです。これは、野田警察署の総意でもあるんです」
(総意か。そう言ってくれると、助かるな)
「捜査記録と状況から、整理しましょう。何としても、野田市で決着をつける」
「分かりました。早速ですが、資料室に向かいましょう。あそこなら、署長も来ない」
佐久間たちは、資料室へ移動し、打ち合わせを開始した。




