第五話 注意事項ダウンロード
全身に碑文のような模様が浮き出て光りだす。
『・・・ゆくぞ?自分を強くもて。』
「わかった。」
次の瞬間!何か大きなものに飲み込まれるような感覚に襲われる。
なんだこれは?とても深くて、暗い。
『意識を集中しろ!回線を固定するぞ。』
眉間のところから頭の中に何かが広がっていく感覚。・・・・頭の中がパンクしそうだ。
見たことも無い知識が夥しい量で流れ込む。
やがて、文字の羅列が形を成していく・・・。
『よく耐えたな。回線は固定した。稼働率は最小限にしてある。・・・そろそろ目覚めの時間だな。必要な知識はお前が望めば引き出せる。くれぐれも回線を開放はするな。』
「何故だ?」
・・・そこで目が覚めた。
必要な知識は引き出せるんだったな。・・・こめかみに指を当て、目を閉じて意識を集中する。
竜は普段は眠っている、だが俺を通して記憶は共有している。どうやら回線を完全に開放すると、精神の存在の大きさの違いから俺が侵食されてしまうらしい。
それを防ぐ為に、あいつは意識のほとんどを休眠させている。
あいつと俺の体に出る模様は法成式と呼ばれるもの。この世の森羅万象を司る理なのだそうだ。
俺は体に浮き出る法成式を見ながら、自分におきた現実を受け止めていた。
死を前にしたからか、竜と精神を共有したからなのか昨日とは違い、落ち着いて考えを巡らせることができる。