第三話 契約成立!?
『さすがに、いきなり全てを理解するのは無理か・・・。』
竜は眉間にしわを寄せながらこちらを見据える。
『理解は後でも構わぬ、お前に完全な死までの猶予をやろうと言うのだ。我と契約しろ。』
「契約?」
さっぱり意味がわからない。
夢なら、早く覚めて欲しい。やらなければいけない仕事が山積みなのだから。
こちらを見ていた竜の口元が緩む。
『・・・フッ、我と契約すればすぐに目覚めるぞ?』
「・・・・全く、変な夢だな。わかった契約するよ。」
俺は考えもせず、即答した。
『契約は交わされた。では、ひとまず帰るがよい。』
そう竜が言うと、何か物凄い力で後ろに引き戻された。
体に枷と感覚が戻ってくる。
・・・・・・今思えば、あの時違和感は感じていたんだ・・・。
「あれ?」
気が付くと、喫煙所のある会社の中庭に一人でいた。
「さぁ、仕事だ。」
俺は、足早に席に戻って仕事を続けた。
その日の夜、俺は疲れからか横になるとすぐに眠りに落ちた。
「なんだ?契約の説明が残っていたか?」
『そう、邪険に扱うな。お前に”契約者”としての注意事項を説明したくてな。』
そこには、白昼夢に登場した竜がいた。
「注意事項?契約して・・・目が覚めて。それで終わりじゃないのか?」
『説明するより、こうする方が早いか・・・』
竜がそう言うと、竜の体に緋色の紋様が浮かび上がる。
よく見るとそれは、何かの文字のようだ。
『これは封印であり、結界だ。これがあるから、我はここから動けず且つ存在し続けられるのだ。』
「・・・それで?」
『お前は一度死んだ。肉体と精神が別たれたお前はそのままでは精神も初期化され完全に消滅するところだった。だが、戒めを持つ我と連結することにより肉体と精神を繋ぎ直したのだ。』
「そうか、なるほど連結してな。・・・・連結?」
『そうだ、つまりこうだ。』
そう竜が言うと、今度は俺の体に竜と同じ紋様が。
「これは?」
『契約により繋がった我とお前は、文字通り一心同体。・・・言うなれば我らの絆と言ったところか?』
どうやら、こいつなりのジョークらしい。
だが、あまり絡む気もしなかった。
「まぁ、いいや。」
俺は、興味が無いのを露骨に態度に表した。
『信じる信じないはお前の自由だ。だが猶予はそれほどないぞ?・・・・そう、お前らの時間単位で72時間。』
・・・・・・!?なんだって?