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第十話 完全適合

(たかし)はベッドに仰向けに寝転がりながら、考えていた。


アンジェから聞き出した情報はこうだ。

俺は死ぬ運命にあったが、アンジェに選ばれ適格者となった。

適格者は存在自体が”特異点”であり、適格者の出現に合わせて”試練”も現れるのだそうだ。

そしてその試練を乗り越えた適格者は”ある問い”をアンジェから受ける。

その答えにより人類の未来の方向性が決まるらしい。

それは誰かが判断するものではなく、答えをデータとして入力したのち導き出されるのだそうだ。

そのデータバンクはアカシックレコードという、この宇宙の過去、現在、未来の全てが記されているものらしい。


スケールがでかすぎて、いまいちぴんとこない話ばかりだ。


しかし、生きていられる時間があと50時間と迫っても特にやりたいことが思い当たらない自分に情けなさを感じてもいた。

親と電話で話し、アパートを片付けて、好きな子と食事をした、。


するともう何も思いつかない。むしろ適格者として与えられた使命にありがたさをおぼえるくらいだ。

仕事に追われるだけの人生。焦燥感と重圧感にさいなまれながら、何も得ることなくただ、擦り減らすだけの人生。

その仕事から解放された今、自由なはずなのに何もない。

与えられた使命を果たせば俺は、少しでも達成感を得られるだろうか。


結局、誰かに与えられたものが自分を支える。自分ひとりでは自分を奮い立たせる事もできなかった。


天は意識を集中する。

竜に問いかける。


「アンジェ、聞きたいことがある。」

『前任者に会うのか?』

「そうだ。時間も無いし、まずは完全な適格者になる必要がある。」

『望め、さすれば道は示される。』


・・・・意識を集中し、念じる。すると、強烈な眠気が襲う。


・・・・・目の前には扉があった。

どうやら、これが前任者のいる部屋への扉らしい。

意を決し、扉に手をかける。

物足らないくらいの軽さでドアが開く。そこはどこか懐かしい部屋だった。


目の前にはフードを被った男がこちらに背を向け立っている。

気配でわかる、圧倒的な存在感。


『気をつけろ、奴は強いぞ。』

竜は天に忠告する。

「あぁ、対峙しただけでわかる。」


『はじめましてだな。13番目。』

男は口を開く。そして目深に被ったフードをおろす。

白銀の髪と紅い瞳が印象的だ。


「13番目?あんたが12番目だってことか?」

天は自分の知らない何かを知る前任者から、できるだけの情報を聞き出そうとした。


『そうか、何も知らされてないのだな。お前が前に進む為には、まず俺を倒さなければならない。』

得意気に男は語る。


「そうらしいな。俺はまだあんたの名前も知らない。」

天は話に乗ってみる。


『俺は本来、最後の適格者であった12番。そして歴代の適格者で唯一、完全適合をした適格者だ。』

男はなにやら不吉なことを言う。


「完全適合?」

また天の知らない言葉が出た。

『精神の侵食を受けずに竜の力を振るう能力だ。』

竜は常識だと言わんばかりに言った。

「どういうことだアンジェ、聞いてないぞ!」

天は動揺しながら、竜に食いつく。


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