二人共に
「行ったか・・・・」
「そうね。これで・・・・安心、かな・・・・」
緋月がその場に倒れる。その緋月に添い寝するようにして御堂の膝も折れた。
硬く冷たい、デコボコして痛いアスファルトの上の寝心地は予想以上に悪く、
緋月は不満を漏らした。
「・・・・一年ぶりに再会して、初めての抱擁と添い寝がこんな場所なんて・
・・・・」
「仕方ないだろ・・・・このシティにゃもうベッドも布団もねぇよ」
優しく、背後から緋月を抱き締める。悲しみを少しでも和らげてあげるため
に。修之の死から、少しでも意識を逸らしてあげるために。
「今しとかないと、さ・・・・・もう、いつできるかもわかんねぇ・・・だろ」
「そう・・・・だね。文句いっちゃ、ダメだよね」
抱き締めていても、抱き締められていても、温かさは伝わらない。愛おしさ
は伝わらない。DUの痛みが、全てをぶち壊している。
「大丈夫だ・・・・俺たちは死なない。死ねない。修之のためにも、絶対に」
「・・・・」
その言葉に対する返事は既に無く、彼女が生きていることを実感できるのは
ただ、規則的に繰り返されている呼吸と胸の上下だけだった。
そして彼の意識もまた、宵闇に沈む。
その頃にはもう、灰色の氷柱が二人を包み込んでいた。
短っ! って思われた方、すみません。ここはここで個別に用意するべきだと思ったもので。
温かさが伝わらない、というのはDUの侵食のせいで一時的な感覚の消滅ですね。
では、また次回~。