表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/91

序章

少々下手ですがご了承ください。少し残酷だったり「この単語は・・・」みたいな言葉が入っているかもしれません。あと、バトルが多めです。

  THE BLOOMING GARDEN

 

   始まってしまった、始まるべきではなかった物語 


 灰色の雪が降っている。背後には七色の炎が揺らめき、今でも

爆発音が響いてくる。

 灰色の雪は地面に降り立つと、瞬く間に巨大な氷柱へと変貌する。

 灰色の氷柱はあらゆるものを貫き砕く。その勢いは七色の炎さえも

押し止めていた。

 しかし、灰色が佇立する中に一つだけ、異彩を放つ灰がある。

 先端から赤い、紅い鮮血を滴らせ、根元まで流れたそれは地面にまで

流れて溜まっていく。

「・・・(ひなた)――?」

 鮮血の持ち主は無言。身動きしない。その瞳に光は無く、触れた

肌は灰色の氷柱のように冷たかった。

 その氷柱の向こう。そこに人影がある。それはこの惨状を生み出し

俺の大切なものを奪った元凶だ。

 その人影は近づいて来て、俺の頭に手を乗せた。

「ごめんなさい。謝って許されることじゃないのは分かってるの。

でも、ごめんなさい」

 俺の鼻先に、水滴が落ちる。それは灰色の雪なのかそれとも――。

「おい、朝月! どこだ!?」

 俺の背中に声がかかる。俺のよく知る声。最も身近にいる兄の声だ。

 俺は最後に一度だけ、人影を見る。華奢で小さい身体。地面にまで

届く長い髪。右目から頬にかけてと両鎖骨に刻まれている棘のよ

うな刺青。少女だろうその影を、目に焼き付ける。

「俺は―――お前を許さないから」

「うん――覚悟してたことだから。それでいいの」

 微かな笑みを声に乗せてそう言った。

 自分のしたことが許されざることだと理解している――。

 そう伝わって、それでも俺は許せない。

 恋人の身体に触れ、最後に一度だけ、キスをした。

 踵を返し声の方へ走る。今できることは、この惨劇を繰り返さない

ようにすることだけだ。

 俺は何日何週間何ヶ月、何年経っても彼女を忘れない。許さない。

 月から太陽を奪った彼女が、許せないんだ―――


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ