第27話 地雷を知らなかった男
ここまで読んで、ふと頭をよぎった疑問があった。
「じゃあなんでネルソンは無事なんだ?」
標高五万メートルを走って駆け回ってた英雄だからといって、「麓の天然地雷」に免疫があるわけじゃない。
むしろ危険なのは、登山口に至るまでの最初の100mだ。
ネルソンのルート図や記録を引っ張り出して照らし合わせてみた。
驚くべきことに、ネルソンがガルダに行った当時。
この爆発現象そのものが、まだ発見されていなかった。
先住民(本当にいたのかよ)は、経験則として「ここ踏むとヤバい」と知っていたっぽい。
だが、ネルソンと王国との接触段階では、先住民との文化交流は成立していなかった。
山に近づく外部の人間には容赦なく槍が向けられる。
言語も未解明。
示されるジェスチャーの意味もわからない。
「その頃は文化交流が成立してないから、山に行ったらガンガン槍を向けられるし、言語も未解明だから教えてもらうことは無理」
一応、「特定のジェスチャーを見せると槍を引っ込めて道を通してくれる」という、謎の和解プロトコルがわかっていて、ネルソンはそれを利用して槍を避けたらしい。
ゲーム内にあった「先住民の和解ギミック」。妙に抽象的なハンドサインを入力すると道を開けてくれる、あれだ。
「それでゲームにも和解ギミックがあったのか……」
プレイ中は「なんだこの音ゲーみたいなミニゲーム」としか思ってなかったけど、史実をなぞっていたのか。
それにしても、だ。
地雷にはジェスチャーは通じない。じゃあダメじゃん。死ぬじゃん。
「……いや、運良すぎない?」
爆発現象のことを最初から認識していたわけでもないのに、たまたま危険地帯を踏み抜かず突破している。
王笏を杖にしてクレバスを三段跳びする前から、こいつの人生そのものが「激ムズローグライク」みたいになってる。




