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霊峰ガルダに登ろう!  作者: 静先輩
第二章 Steamガルダ編
23/28

第23話 アドベンチャー=「山がプレイヤーを殺しにくる」モード

 とりあえず、そこまで行く前に中難易度「アドベンチャー」をクリアしなければならない。

 まずは一歩ずつ、と自分に言い聞かせてスタートしたのだが、開始五分で反省した。


 このゲーム、やっぱり頭がおかしい。


 出てくる脅威だけ列挙すると、だいたいこんな感じだ。


 ・雪崩(まあ雪山だしな)

 ・クレバス(まあ雪山だしな)

 ・落石(……まあ山だしな)

 ・狼と熊の同時襲撃(生身でなんとかなるわけないだろ)

 ・先住民(どうやって暮らしてんだ)

 ・硫化水素(この見た目で中身火山なのかよ)

 ・4m級の猛禽類(お前は何食って育ったんだよ)


 前三つは、まだギリ理解できる。

 雪山といえば雪崩・クレバス・落石。教科書に載ってる三大脅威だ。


 問題は、その後だ。


 ・狼と熊の同時襲撃


 落石の危険がある岩場を抜けてようやく安心した瞬間、右から狼の群れ、左からは熊がのしのし近づいてきた。


「待って待って、お前ら縄張り争いしろよ!?なんで協力して一人の登山家狙ってくんだよ!?食物連鎖、一旦確認してこい!」


 現実にも狼と熊が同じ山に生息しているケースはあるらしいが、「同時パーティー組んでプレイヤーを挟み撃ち」みたいな RPG 的な連携技は聞いたことがない。


 ログにはしっかり、「死亡原因:猛獣(狼+熊)」とコンボ扱いで記録された。

 格ゲーでいうところの「同時ヒット」だ。そんなコンボいらない。


 ・先住民


 登っていくと、槍で武装した先住民が現れる。

 ゲーム内テキストいわく、ガルダで何世代も暮らしているらしい。


「いや、どうやって生活してんだよ」


 畑も見当たらない。

 薪になりそうな森林もない。

 あの標高で、酸素どうしてんだ。

 たぶん、プレイヤーよりよっぽど高所順応してる。


 まともな対抗策もない中で槍で囲まれ、走って突破しようとしたら大勢でメッタ刺しにされた。


「まあ、聖地的な山に先住民がいて、登山者と摩擦が起きる、みたいな話は現実にもあるしな……」


 と、自分を納得させつつ進む。

 ゲーム内テキストが言うには、「彼らはうまく誘導すると、ある状況で役に立つ」とのこと。まあ、誘導するまでもなく、刺されるんだけど。

 攻略Wikiによると、特定のジェスチャーを見せれば槍を引っ込めて通してくれるらしい。

 なんでだよ。


 ・硫化水素



 雪と氷で覆われた斜面を進んでいて、出会い頭の野生動物を避けようと様子見のためにしゃがんだら死んだ。「死亡原因:硫化水素」と出た。


「いやいやいや、このロケーションで硫化水素って何?」


 あたりは一面の銀世界。

 見えるのは氷壁と雪庇と、遠くにガルダの主稜線。

 常識的に考えて、「温泉地帯に迷い込んだ」みたいなビジュアルではない。


 ガルダは「地殻を突き破った超巨大火山性山塊」らしい。

 つまり、雪に覆われながらも、内部は延々と活動している火山。

 その結果、山肌のあちこちから有毒ガスが漏れ出しているというわけだ。


「火山・雪山・超高山・断崖絶壁・宗教的聖地・戦場・怪獣の住処……全部盛りにしてない? この山」


 もはやジャンルがわからない。

 地球の DLC コンテンツか何かだろうか。


 ・4m級の猛禽類


 そして極めつけが、4m級の猛禽類だ。


 岩棚で小休止していたら、空が一瞬暗くなった。

 視点を上向きに動かすと、翼を広げた何かが、こちらに向かって急降下してくる。


「は?」


 一瞬、飛行船かと思った。

 それくらいでかい。

 近づいてくるにつれて、くちばし、鉤爪、羽の一本一本が見えてくる。


「お前は何食って育ったんだよ!!」


 画面右下のデータによると、翼開長4mオーバー、体重も大型のクマ並み。

 先住民の伝承によれば、「太陽の精霊」。


 先住民は猛禽類を見ると、太陽の光を浴びながら祈りを捧げる文化があるらしい。

 ゲーム内テキストによると、「彼らの祈りは猛禽類の襲撃頻度を下げる効果がある。なお、因果関係について考える必要はない。」とのこと。


「いや、精霊とか言ってる場合か。そのサイズの肉食飛行生物が、この生態系のどこに挟まるんだよ」


 当然のように、この猛禽類はプレイヤーを掴んで飛び立つ。掴まれた時点で死亡判定が出て映像がカットされるけど、正直その先は見たくない。

 対処方法は、


 ・銃火器:なし(そういうゲームじゃない)

 ・フレア:あまり意味がない

 ・ロープ&地形:ギリギリ引っかかって生存できる可能性あり


 ……という理不尽仕様。

 物陰に逃げ込んでしばらくしていると、興味が他に移ってどこかに飛び去って行くから、それでやり過ごす。

 ゲーム内テキスト曰く、「何かが役に立ったことには感謝すべきだが、何が役に立ったかを考えるべきではない」とのこと。

 よし、考えるのはよそう。


 一応、体力値が有限らしく、掲示板のガチ勢がナイフで数時間かけて討伐してた。

 その結果、先住民に和解ジェスチャーが通じなくなったらしい。

 まあ、神殺しだから当然っちゃ当然だけど、なんでそれを想定した挙動が仕込まれてるんだよ。

 さすがにここまでくると、俺の中のツッコミ担当が過労死し始めた。


「先住民はまあ、ストーリー的に頑張れば飲み込める。狼と熊も、同じ山に住んでてもおかしくはない。ペア襲撃はおかしいけど。だとしても、猛禽類だけはおかしくない?」


 画面の左上で「DEATH: 247」の数字が増えていくのを眺めながら、俺はコントローラーを置いた。


「……これ、本当にアドベンチャーか?カテゴリー間違えてない?サバイバルホラーじゃない?」

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