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霊峰ガルダに登ろう!  作者: 静先輩
第二章 Steamガルダ編
19/34

第19話 職業「アリバイ芸人」

 仮説:


1. まず、ゲーム開発チームは、通常ネルソンスキンとして「ほぼブラッド・ピット」な顔を作った。

「いや、ギリギリセーフでしょ?」「インディーズだから許してくれるって」みたいな、甘いノリで。


2. さらに、特別スキンとして「ほぼリーアム・ニーソン」なネルソンを用意。

 装備に「強靭」「無敵」「最強」とか書き込んで、「伝説に相応しいだろ!」とテンションが振り切れる。


3. ところが、配信後どこかのタイミングで、

「これ、普通に俳優側にバレたら笑えないよね?」という現実に気づく。

 あるいは実際に、なにか外部から“やんわりとした注意”が入った。


4. 慌てた運営は、まず火急の案件として「闇ニーソンスキン」を何とかする。

 → 期間限定無料配布+全額返金

 → ショップから削除

 → 公式掲示板で「ニーソン」禁止ワード

 とにかく「お金の流れ」と「名前の紐付け」を切り離しにかかる。


5. しかし、通常スキンの「ほぼブラピ」は、もはやゲームの“デフォルトネルソン”。

 ここで顔を差し替えると、宣伝用スクショも全部描き直しになる。

 返金やスキン隠しもできない。

「もうこのまま押し切るしかない」という結論に。


6. そこで、最低限の保険として、「アリバイ」を用意することにした。

 → 「いや、この顔はブラッド・ピットじゃなくて、ブラック・ビーツっていうモノマネ芸人がモデルなんですよ。ほら、ちゃんと本人のアカウントもあるでしょ?」 という言い訳ラインを確保するために、 ブラピモノマネ芸人を後から生やす。


7. ブラック・ビーツの X アカウントが、ゲーム配信の半年後にひっそりと開設される。

 開設直後の、「大きな仕事が入った」ツイート。

 しかし当然ファンはいないので、いいねもほぼ付かない。

 そしてなぜか、ゲーム公式アカウントはフォローしない。

 フォローしたら、逆に証拠になってしまうから。


 ……という流れだったらどうしよう。


 つまり、ブラック・ビーツさんの仕事は、「いつブラッド・ピット側から問い合わせが来ても、『あれは俺がモデルです』と言い張れるための、法的・倫理的な命綱」。


 職業名:アリバイ芸人。

 需要あるのかそれ。


 ここまで考えて、ふと別の不安が湧いてきた。


(もし本当にそんな裏事情があったとしたら――)


 闇ニーソン側で怒った人たちと、基本スキン側で怒る可能性のある人たちと、その真ん中で震えているインディーズ運営と、いきなりよくわからないアリバイ芸人として巻き込まれたブラック・ビーツ。


 これ、もしかして、ガルダの「最高峰と人類最高峰の頂上決戦」が始まる前に、ハリウッドとインディーズ闇運営と謎コメディアンの、泥沼の法廷戦争が裏で進行してない?


「登山シミュで遊びたいだけだったのに、なんでこんなこと心配してんだ俺」


 コントローラーを握りながら、遠い目になった。

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