第11話 「最高峰と人類最高峰」って誰がうまいこと言えと
噴火のトラウマとネルソン伝説で頭がいっぱいになっていたある夜、俺はつい衝動買いをしてしまった。
Steam のトップページででかでかとバナーが出ていた、登山シミュレーションゲーム。
タイトルはシンプルに『GARDA』。
サブタイトルは、やたら気合の入ったフォントでこう書いてある。
「最高峰と人類最高峰の頂上決戦」
スクロールして説明文を読む。
「最高峰」がガルダ。まあ、わかる。
「人類最高峰」がネルソン。ギリ、わかる。
「頂上決戦」の「頂上」は、物理的な山頂と「人類の頂点」という概念をかけたダブルミーニングらしい。
やかましいわ。
企画会議の様子が目に浮かぶようだ。
「ガルダ最高峰でしょ? で、ネルソン人類最高峰じゃん? これ、かけちゃおうぜ?」
「“頂上決戦”の“頂上”もさあ、ダブルミーニングで――」
「うおー天才! パッケージ決まった!」
たぶん、運営スタッフの中にガチのネルソン信者がいる。
ブレーキ役がいなかった会議って、こういう産物を生むんだな。
とはいえ、「ネルソンを操作してガルダに挑める」という一文には、正直めちゃくちゃ心を動かされた。
現実でガルダなんて一生触れないかもしれないけど、せめてゲームの中だけでも登ってみたい。
それくらいは許されるだろう。たぶん。きっと。




