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EX-17:ウルウルム


 双子たちから逃げ出してきたユウリは適当な部屋に入って素早く施錠した。心臓をバクつかせながら閉めたドアに耳をつけて外の音を確認する。…よし、追ってきてはいなそうだ。


「何かあったのか?」


「〜っ!!??」


 すぐ近くから声をかけられ、心臓が口から出るかと思った。冷静に考えれば部屋の中に先客が居ることは何もおかしくない。本がそこら中に積まれているのを見るに、この部屋はどうやら書庫らしい。


「驚かせてすまない、大丈夫か?」


 声の主はクロハだった。例に漏れずしっかりコスプレしている。そんな姿は見たくなかった。なぜこんなことに…みんなどうしてしまったんだ。ユウリに怪訝な眼差しを向けられたクロハは自らの頭上にある猫耳に触れ、溜め息をこぼしてから説明をしてくれた。


 クロハの話を要約すると、なんやかんやあって花壇を燃やしてエリナに怒られ、連帯責任でみんなして今日1日コスプレ衣装を着て過ごさなくてはならないらしい。


 …いや、なんだそれ。いい大人が何をやっているんだ。それはそれとして誰も見てないときは猫耳を外していてもバレないと思うのだが、ぼっち読書中でもしっかり猫耳のクロハは律儀というかなんというか…うーん、耳と尻尾さえなければカッコイイのに。


「ところでウルムにはもう会ったか?」


 ウルム?帰ってきてからはまだ会っていない。流れからしてウルムにも猫耳がついているのだろうが、ウルムはまだ子供っぽい部分もあるし、ルッチには及ばないとしてもラナクやクロハよりは似合いそうな気がする。


「会ってないならいい。今日のところは放っておいてやってくれ」


 なぜそんな事を言うんだろう、逆に気になるじゃないか。クロハには悪いがウルムを探しに行くことが今決定した。そうと決まれば善は急げ、ユウリはさっさと書庫を後にする。



 ウルムはどんな仕上がりになっているんだろう、ここまでくれば解釈違いを見たくないという気持ちよりも好奇心が遥かに勝る。浮足立って歩くユウリは曲がり角から現れた人影に気づくことができなかった。


ーーどんっ


 痛っ。ぶつかった相手は見たことのない可憐な女の子だった。ショートヘアに大きなリボン、フリフリのメイド服と猫耳。服装からしてこの子もエリナの罰を受けているのか…まぁこれだけ似合っていれば罰にもなっていないが。


 松葉色の髪をした女の子はユウリの顔を見るなり黄褐色の瞳をまんまるにして一瞬固まり、すぐさま両手で顔を覆ってしゃがみ込んだ。


「ああ〜最悪だよもう!!!なんでこうなるんすか!!!」


 …可憐な女の子からウルムの声がする。あ、そういうこと?ウルムなんだ…えぇ?すごい可愛い…。髪型と服装を変えただけでこんなに変わるものなのか、なかなか衝撃的である。


「ユウリさんにだけは見られたくなかったのに…うぅ、ぐすっ…」


 うずくまったままのウルムは小刻みに肩を震わせている。…え、泣いてる?どうしよう、なんだかわからないがウルムを泣かせてしまった。ユウリは大困惑のままウルムの隣に座って背中をさすった。


「あの、ウルム…かわいいよ?」


「は?それ嬉しくねっすから」


 フォローしたら涙目で睨まれてしまった。難しい。


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