EX-1:つづきから
パーティから一夜明け、昼過ぎになってユウリは目を覚ました。
「…んはよ、姉さん。…ふぁぁ」
隣で寝ていたマオも目を擦りながらあくびをしている。客間が足りなかったとかではない。この姉弟、高校生にもなって普段から一緒に寝ているのである。ラナクやウルムには大層引かれたが問題ない。
「そーいや後で来いってフブキに呼ばれてたよな。世界救ったし、褒美とか貰えんのかな…行ってみようよ」
ユウリは頷くと、マオの寝癖のついた髪を指で軽く梳いてから部屋を出た。
「やぁ2人とも、呼び出してすまないね」
フブキも久しぶりにゆっくり休めたようで、髪の艶も良くすっきりした顔をしている。その隣にはギンネを頭に乗せたカイの姿もあって、ニコニコして手を振られたので手を振り返しておく。
「まずは感謝を述べさせてくれ。本当にありがとう。君たちがルビオス・ヘモネブラを討伐してくれたお陰で蝕む者はみな消え去り、赤泥化した魔物たちも元の姿に戻ったよ。完全な復興には少々時間がかかるだろうが、ノラスはまた元の平穏を取り戻すだろう。本当に、本当にありがとう」
うんうん、良かった。大団円である。
「救世の英雄たる2人に相応しい報酬を用意してある。ぜひ受け取ってほしい」
フブキがそう言ってカイに目配せをすると、カイは大きなトランクケースをテーブルの上にドカッと置いて口元に弧を描いた。
「さてマオくんに問題です。中身は何だと思う?」
「俺?…んー、伝説の装備とか?」
「あー天才!ジーニアス!ほぼ当たりだよね〜なんたってこの大賢者カイ様が直々に製作したんだから、伝説級の装備だよ」
カイはこんなんだがどうやら本当に凄い人らしく、数々の魔道具や効果の高い装飾品などを作って人々を助けているらしい。お会計がキャッシュレスなのも、灼熱のバハルドルで室内が涼しかったのも、仮面でクロハの魔力を完全に抑え込んでいたのも…この世の便利は大抵がカイの功績である。
その大賢者カイが作ったとなれば誰もが羨むすごい装備であることは間違いないだろう。物理ダメージ半減とか、状態異常完全無効とか…なんかそういうやつだとありがたい。
「じゃじゃーーーん、正解はコスプレセットでした!」
「おまえキモいってよく言われない?」
「あ、たまに言われる…」
トランクケースから出てきたのは黒い猫耳と尻尾のついたミニスカメイド衣装とバトラー衣装。なるほど、いわゆるお楽しみ装備というやつか…要らないな。
「でもさぁよく見て!ほら!マガリをモチーフにしてんの!この鈴とかも可愛くね?ユウリちゃんに絶対似合うと思うんだけどなぁ〜」
「姉さんにこんなん着せられる訳ないだろ変態!!」
「もちろんユウリちゃんの分だけじゃないよ?マオくんと、君たちのお仲間の分も作った!ガチで大変だったんだから」
「うわいらねーーー誰も着ねぇよ!…は?てかフブキはこれ見てなんも思わなかったわけ?」
「いや、高性能の装備としか聞いていなくて…その、すまない」
まぁ仕方ないだろう。クリア後に手に入るものなんてそんなもんである。
その後フブキは申し訳なさそうに金一封をくれた。




