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4-19:ハッピーエンド


 あれもこれもと夢中になって一通りのスイーツを堪能したユウリは、お腹いっぱいになってようやく一息ついた。改めて周りを見渡してみる。うん、みんな楽しそうだ。


 エリナは隅っこで彼氏と内緒話をしているし、ウルムはクッキーをつまみながらレスカと談笑している。フブキと立ち話をするクロハも時折笑顔をこぼしているようだ。


 何もかもが上手く収まって、アラドイムは平和を取り戻した。ついに成し遂げたのだと実感が湧いてくる。


 …これから、どうするのだろう。元の世界に戻ろうか?いつまでも帰らないユウリとマオを、家族はきっと心配していることだろう。


 ああでも名残り惜しいな。ユウリはこの世界が好きだ。この世界で出会った仲間たちが好きだ。この居心地の良い温もりをまだ手放したくないと思ってしまう。


 双子に絡まれて怒りながらも嬉しそうにしているマオを見て、ユウリは考えるのをやめた。後のことは後で考えればいいのだ。今はまだ穏やかな幸せを噛みしめていたい。


「おうユウリ、楽しんでるか?」


 忙しなく動き回っていたラナクもようやく落ち着いたのか、ユウリの隣、先ほどまでルッチが座っていた席に座った。ラナクがおそらく自分で食べる用に持ってきたふかふかのパンケーキはクリームもフルーツも乗っておらず、代わりに真っ赤なソースがかかっている。…ベリーのソースだろうか?


「俺んち厳しかったからさぁ、こーゆー賑やかなパーティに参加すんのって初めてかも。悪くねーもんだな」


 ラナクはニコニコとして広間を見渡しながら、大きく切ったパンケーキをぱくぱくと口に運んでいく。…美味しそうだなぁ、一口が大きいなぁということが気になって、ユウリは話を聞いていない。


「なんかさ、アンタと出会ってからまだ数日しか経ってねーけど、色んなことあったよな。良いことばっかじゃねーけど…充実してるっつーんかな」


 感傷に浸るラナクよりもその右手にあるフォークに刺さったままのパンケーキがどうしても気になって、ユウリは我慢できなかった。これはラナクのだけど、わかってるけど、ちょっとだけ、一口だけ。


「あ、おいっ!!」


 ぱくりとかじりついたユウリの舌に鋭い痛みが走る。熱、いや痛…え、辛っ……からい!!!火を噴いてしまいそうな辛さだ。ほんの少し口に入れただけなのに、汗がだらだらと流れ落ちてくる。


「ははっ、すげー汗!欲張るからだぞ全く…ぶっ、ふふふ…」


 ラナクはビリビリと熱い舌を冷やしたくて開きっぱなしになったユウリの口に甘いクリームをねじ込んで、汗をハンカチで拭ってくれた。笑い事ではない。こんなの味覚がおかしくなる…自業自得だが。


「マオもそうだけど、こうして見ると普通の子だよなー。神さますんのに疲れたらちゃんと甘えろよ?ここに居るみーんながアンタの味方なんだからさ」


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