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4-15:[ラスボス:魔王竜ニールヴォルグ]


 魔王竜ニールヴォルグは口から冷気を漏らしながら翼を広げて黒竜の姿へと変貌した。どうやら戦闘は避けられないようだ。クロハに怪我をさせたくはないが致し方ない、"こういうの"は大抵勝てばなんとかなるものだ。


「"黒星の願い"、"具現の願い"っ!」


 マオはニールヴォルグにデバフをかけ、複数体の味方モンスターを召喚した。神通力が使えるということはそれだけアラドイムから信仰値を得たということでもある。つまりはユウリと離れている間にマオもなかなか異世界生活を満喫…もとい、多くの経験を積んだのだろう。


 ユウリも負けてはいられない。"白星の願い"、それから連戦で消耗しているウルムに"治癒の願い"をかける。


「ああマリー!卑小なる世の神よ!欲望のままに理を歪めるお前がいかに高慢で横暴な存在か考えた事はあるか?お前はオレとよく似ているよなぁ!」


 ニールヴォルグの長い尻尾がムチのようにしなって、マオの召喚したモンスターの1体を一撃で屠った。軽く尻尾を振っただけなのに凄まじい威力、凍てついた風圧だけでも肌が裂けてしまいそうなほどだ。


 その尻尾を駆け上がってウルムが高く跳躍する。振り上げた刃の切っ先はニールヴォルグの鼻先を狙ったが、ガバっと開かれた魔竜の口から鋭利な氷塊が吐き出された。ユウリは咄嗟に"擁護の願い"を使い、ウルムを貫かんとした氷塊をすんでの所で弾く。


「くはははっ!足手まといじゃないか!お前の人形はこの程度か?せめて竜でも連れてくれば良かったのになぁ!もっと楽しませてくれよ、なぁマリー!あの日みたいにさぁ!」


 ニールヴォルグがただ笑うだけで空気が冷え、降りしきる雨が雪へと変わる。すでにずぶ濡れで冷えきった体は寒さで徐々に感覚が失われていく。…これでは長くは持たない、はやく倒さないと。


 しかしどうすればいい?マオもウルムも頑張っているが、こちらの攻撃はほとんど通らない。ニールヴォルグが戯れのように翼や尻尾を動かすだけで辺りは凍りつき、冷たい刃が打ちつける。少しずつ、だが確実にこちらは消耗し、絶望に似た感情が心にしんしんと積もっていく。


「…グッ……!?」


 前触れもなく突然ニールヴォルグの動きがピタリと止まった。大きく目を見開き…苦しんでいる?


「……邪、魔を、するのか…キサマっ…!虚ろなる器の分際でっ!このオレにっ!!」


「なんかわかんねーけどチャンスっす!!やるっすよ!!」


「っしゃウルム!僕に続け!"撃滅の願い"!」


 …そうか、クロハも抗ってくれているんだ。クロハは空っぽ器などではない。過ぎた力を持って生まれ虐げられても、傷付いた心を隠して人を守る為に戦い続けてきた。むっちゃ良い人である。魔竜なんかの好きにさせてなるものか。


「クロハを返せこのボンクラがぁっ!!!」


「えっ姉さん…」


「ははっ!ブチギレじゃんすか!その意気っすよ!」


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