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4-14:災厄の黒竜


 伸ばされたニールヴォルグの腕はユウリに届く前にクロハによって掴まれて止まった。そもそも本気でユウリに危害を加えるつもりはなかったようで、あまり力が入っているようには見えない。


「あーあ、竜のくせに女神に味方するんだ?腹立つなぁ、オレの身体なのに」


「それは200年前の話だろう。今はアラドイムに害為すものを排除するのが守護竜の使命だ」


「守護竜だぁ?お前が?くふっ…ふはははははっ!!!馬鹿じゃねーの!!」


 淡々としたクロハの言葉に対して、ニールヴォルグはわざとらしく腹を抱えたり膝を叩いたりしながら大笑いしてみせた。なんか腹立つからマオの顔でそういう動きをしないでほしい。


「人間どもに守護竜だなんだと祀り上げられて良い気になってやがる馬鹿な竜も笑い草だが、黒竜までそんな腑抜けちまったかぁ…はーぁ。知らないなら教えてやるよ、お前が生まれた意味をさぁ」


「………」


「お前は器だよ。肉体を奪われたオレがもう一度この世に君臨する為の、空っぽの容器だ。他の守護竜とは違って人間どもがお前を必要としたことは無かったろ?ただ力だけ持て余して、何の為に生きてんだかわかんなかったよなぁ?あー可哀想にぃ。だが安心しろよ、お前の孤独も空虚もぜーんぶオレが貰ってやる」


 そこまで言うとニールヴォルグは意識を手放すようにフッと脱力した。倒れそうになったマオの身体をユウリが慌てて抱きとめる。


「マオ!!」


「ぅ…姉さ、ん………?なんで………あっ!ああ!そうだ!!!やっべ!!!!!」


 自我を取り戻したマオは存外元気そうである。良かった。でもやばいらしい、そりゃあやばいだろう。今度は本作最強スペックの人物が悪の手に渡ってしまったのだから。


「くははははははははっ!!!ああ!これだよこれ!!!久しぶりだなぁ!!この力!!オレの身体だっ!!!」


 クロハの身体をあっさりと手に入れたニールヴォルグは両手を広げて惚れ惚れと高笑いした。クロハの顔でそういう動きをしないでほしい。


「えっ!クロハさん!?何が起きてるんすか??」


 今ごろ異変に気付いたらしいウルムが慌てて走ってきた。どこに行っていたのかと思えば隅で待機しているギヌガルクたちにレスカを預けてきたようだ。


「ウルムじゃん!やべぇんだよやらかした!!」


「えーー今度はなんだよ…前んときは"僕の姉さんとどういう関係なんだよ!"って殴り込んできたよな…」


「は!?おまっ…普通本人の前で言うかよ!!!つか今それどころじゃなくて!破滅の魔竜復活した!!今この人に取り憑いてる!!」


「はぁぁぁーーー!?!?最悪!!何してんの!?どーすんだよ!!」


「僕たちで倒すしかないだろ!!姉さんが狙われてんだぞ!!」


 マオとウルムはいつの間にやら仲良くなっていたようである。そういえばこの2人は初対面じゃないんだな、詳しく話を聞かせてもらいたいところだが…今そんな余裕は無さそうだ。


「へぇ、倒す?肉体を取り戻したこのニールヴォルグ様を?抜かすねぇ…ああ、不愉快だ」


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