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4-10:寄生


 いよいよこれがラストバトル。敵は攻守を担う無数の触手と、触手に守られるように中心に佇むレスカ。狭い室内での戦闘と言うこともあり広範囲の攻撃は避けることが困難だが、散乱した椅子や瓦礫は盾として使うことが出来そう…なんというか、"そういう感じ"である。


 普通に考えれば中心のレスカを倒せば良いのだろうが、触手が邪魔で近付くことはできない。定石通り周りの触手から叩いていく必要がありそうだ。


 ユウリのやる事はシンプル。まずは"白星の願い"で味方を強化、この力は仲間たちとの絆が深まるにつれて効果が強くなっているように感じる。ユウリが願えばウルムは常人離れした身のこなしで触手の攻撃を躱して鮮やかな連撃で赤泥を散らしていくし、クロハが手をかざせば触手はあっという間に凍りついてバラバラに砕ける。…今までは仮面で魔力を抑えられていたが本来はフィジカル系じゃなかったようだ。枷の無くなったクロハはとにかく魔法が強い。


「ああ…気持ち悪い……気持ち悪い気持ち悪い!!!!」


 触手の数が残り少なくなってきたところでレスカが騒ぎ始めた。"こういうの"は大抵大技の合図である。みんなを守るような力も欲しいな…邪悪な力から、悪意から、大切な人を守りたい。"擁護の願い"…。


「消えろよおおおっ!!!!!」


 レスカがレーザーのような真っ赤な光線を辺り構わず放ったのと、光の盾が味方を包んだのはほぼ同時だった。盾が間に合ったお陰で攻撃を防ぐことが出来たが、光線を受けた壁や天井はガラガラと崩れた。…何とか全員無事だ、初見でこれ防げたの偉すぎる。


「なんで、なんで、う、ぐぅ…あああ…グゥああァアああアアっ!!!!!!」


 天井が無くなり、レスカが豪雨に晒されながら空へと手を伸ばすと、足元の赤泥が沸騰したかのようにゴボゴボと泡立ち始めた。わかっている、ラスボスに第二形態はつきものである。ギミックバトルは終了、ここからが本番ということだろう。


「いやだ!気持ち悪い気持ち悪い!嫌だ!やめて!!やだ!!!」


「レスカ……」


 足掻きもがくレスカを泡立つ赤泥が飲み込んでいく。全身を覆ってもなお膨らみ続ける赤泥はやがて巨大なサソリの形となった。あれこそがルビオス・ヘモネブラの真の姿なのだろう。


「ユウリ」


 クロハがユウリに近づいて小声で話しかけてきた。ちょっと今ヒソヒソ話とかしている場合ではないと思うのだが。


「あいつまだ自我がありそうじゃないか?敵意はウルムじゃなく蝕む者に向けられている気がするんだ。お前の力で助けられないだろうか」


 えっ、今からでも彼が入れる保険があるんですか?そんな虫の良い話が…いや、あるかもしれない。ここは女神の箱庭、ユウリが願えばどうとでもなるのだ。相わかった、救ってやろうじゃあないか。ただし今は無理だ、"こういうの"はボコって弱らせてからだと相場が決まっている。


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