4-5:同行者2
「話はまとまったようだな」
決戦メンバーの1人がウルムに決まったところで、脇で様子を見ていたクロハが声を掛けてきた。素顔のクロハは改めて見るとフブキと目元が似ている。クロハは黒いとはいえ雪竜だったし、もしかして兄弟なんだろうか。
「俺も同行したいのだが、どうだろう」
断る理由がなさすぎる。戦力的にも多分最強だし、情緒やばめのウルムの扱いにも慣れていそうだ。是非一緒に来てほしい。ユウリは激しく首を縦に振った。
「……嫌じゃないのか?」
何が?きょとんとして見上げるユウリの眼差しに、クロハは居心地悪そうに目を逸らす。
「…見ただろう?醜く悍ましい俺の姿を。俺は破滅の魔竜の血を濃く継いだ、忌むべき黒竜だ。魔封じの面で魔力を抑え、正体を隠すことで生きる事を許されていたが…今はそれもない」
前にクロハが言っていた言葉を思い出した。"俺が生まれたことを喜ぶ者は居なかった、俺は存在してはいけなかった"…。クロハは生まれた時から疎まれ、存在を否定されてきたのだろうか。ただ色が違うから、ただ魔力が強いから。それだけの理由で。
そんなのは馬鹿げている。ふざけている。クロハが一体何をしたというのだろう。あとそもそも醜くもないし悍ましくもない。もしそんなことを言った人が居るのならその人の感性がズレているだけだろう。ユウリの見た限り、クロハは人の姿も竜の姿もカッコイイ。
「お前の隣に立つには、相応しくない」
そんな寂しいことを言わないでほしい、そんな悲しい目をしないでほしい。前にクロハが弱音を吐いたときは、どうしたら安心してくれたんだっけ。そうだ、髪を撫でて…
「え!?ちょ…ユウリさん何してんすか…!」
ユウリがおもむろにクロハの濡羽色の髪を撫で始めると、近くで見ていたウルムが慌て出した。まぁ、尊敬しているクールな先輩が小娘になでなでされていたら困惑もするだろう。
「まずいって!今クロハさん真面目な話してんすからふざけないでくださいよ!…あっあの、クロハさん!これは多分ユウリさんなりに励まそうとしてて?あの、俺もクロハさんにはすげー感謝してるし、黒竜だからって嫌だとか思わないし、元気出してくださいっす!」
ふざけてない。ユウリは全くふざけていないのだが、後半部分の台詞に関しては完全に同意である。代弁してくれて助かった、ユウリもウルムの言葉に頷いて、クロハを見上げた。
「ふ、ふふ…そうか。ありがとう、2人とも」
クロハは安心したように穏やかに笑っている。その笑顔を見るとこちらまでジンワリと胸が温かく…
「笑っ…!?見たっすかユウリさん!クロハさんが笑ったっすよ!!」
見たから。分かったから空気を壊さないでほしい。




