3-15:[3章ボス:連続戦闘]
とまぁなんやかんやあったがクロハもラナクも元気になったし、試練も無事に合格ということで一件落着。すでに灼竜王はノラスへ向けて飛行部隊を送ってくれており、ラナクはユウリ達と同行することとなった。
「にしてもノラスかぁ、遠いな…俺の翼で休まず飛べば今日中には着くだろーけど、乗ってくか?」
ラナクの提案は魅力的であったがユウリには"瞬転の願い"がある。わざわざ空を飛んで帰るのは時間と体力の無駄なので事情を説明してお断りした。…それはそれとしてドラゴンには乗ってみたいので後で乗せてもらおう。
「え、瞬間移動できんのかよ?クロハを治した力もすげーし、ユウリって何者?」
何者かと聞かれても…ユウリ自身にはよくわかっていない。あまり人の話は聞いていなかったし、ただ成り行きでこうなっているだけだ。代わりにギンネに説明してもらおうかとも思ったが、今はクロハの肩の上で濡羽色の髪と戯れるのに忙しいようである。
結局ユウリは考えるのが面倒になって、適当に首をかしげてごまかした。まぁ、別になんでもいいだろう。何者であってもユウリはユウリなのだから。
"瞬間の願い"であっという間にシウネラの拠点へと着くと、様変わりした辺りの景色にユウリは息をのんだ。赤泥を纏った魔物たちが町の中までも進行し、騎士や冒険者たちがそこかしこで戦闘を繰り広げている。
「なんだよこれ…こんな事になってたのかよ」
「ユウリちゃん!!クロハ様っ!!」
呆然とするラナクの言葉を遮って、屋敷の窓からこちらに気付いたエリナが飛び出してきた。
「た、大変なんですっ!蝕む者みたいな赤い魔物が急にドカドカ町になだれ込んできてっ!ちょっと前にユウリちゃんの弟っていう男の子がウルム様を探しにきてたみたいなんですけど、この騒ぎになっちゃったから巻き込まれてるかも…あの!助けてあげてくださいっ!」
「ほんとうだ、たしかにマオの気配がするよ。ユウリ、こっち。ついておいで」
マオがこの町に?よりによってこんな時に…ユウリは血の気が引く思いだったが、今は立ちすくんでいる場合ではない。駆け出したギンネを信じて追いかけた。
もはやシウネラの町は赤泥の魔物で溢れかえっており、急ぐユウリ達の行く手に何度も立ち塞がった。端的に言えば時限付きの連続戦闘である。
クロハとラナクがついてきてくれているのでそれほど苦戦はしなかったが、赤泥の魔物は一定のダメージを与えると異形の姿へと変貌して朽木病を引き起こす攻撃を連発するようになる。自然治癒しない死に至るスリップダメージ、これがなかなか厄介だ。"浄化の願い"で治療をするのにいちいち時間をとられてしまう。
もどかしい思いをしながらも進んでいくと、少し遠くの空で美しい白銀の竜が巨大な蛾のような赤泥の魔物と戦っているのが見えた。魔物の放った赤黒い光線が竜の片翼を掠め、体勢を崩した竜は落ちる間際に魔物の首元に喰らいつくと、雪のように煌めく羽毛を散らしてきりもみしながら魔物と落ちていった。




