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2−7:コイレース解禁


 何事もなかったかのように小船は運航を続け、2時間以上波に揺られてようやくケントルの東大橋付近に到着した。

 海に落ちたカイの安否がやや気掛かりではあるが、これはきっとあれだろう。ギャグマンガでよくある大怪我をしても次の回ではケロッとしているみたいな、おそらく"そういうこと"だ。だから心配はいらないのだ、多分。


「ねーみて!キレイなお魚!」


 キョロキョロと辺りを見渡していたルッチが楽しげに声を上げた。指差す先にはショウケースのように並んだ生簀と、ニシキゴイに似た色とりどりの魚たち。


「お!お姉さんお目が高いねェ〜!こいつぁウチで1番速いコイウオだよ!」


「速い…コイウオ?」


「なんだァ"コイレース"知らないの〜?今やってるから見ていきなよ、アツ〜いコイの駆け引きをさ!」


 変なキャッチに捕まってしまった。ウルムはゲンナリ顔でため息をこぼしたが、ルッチはウッキウキのキラキラである。見ないという選択肢は無いのだろう、そのコイレースとやらを。


 一歩会場に足を踏み入れれば、途端に激しい熱気に包まれた。既にレースは始まっているようで、観客席は大盛りあがりだ。会場の中央には障害物が設置された環状の大きな水槽があり、4匹のコイウオたちが障害物をくぐったり飛び跳ねたりしながら一生懸命に泳いでいる。水槽脇でコイウオたちに並走しながら指示を出しているのはコイウオの持ち主で、コイ主と言うらしい。


「お魚!はやーい!かわいい!」


 ルッチも大興奮である。競馬などと比べればかなり地味な絵面だと思うのだが、会場上部に設置された巨大モニターには水中カメラの映像が映し出されていて、頑張って泳ぐ色鮮やかな魚たちは確かに可愛い。


「そうだろォ〜!燃えるよなァ!ライバルを蹴散らし数多の障害を乗り越えて、勝利の女神に愛の抱擁をされるのは一体どのコイなのか!?クゥ〜!」


 ちょっと何を言っているのかわからないが、キャッチのお兄さんもテンションがブチ上がっている。そうこうしている間に魚たちは最終コーナーを曲がり最後の直線へ。観客の歓声も一層大きくなり耳に痛いくらいだ。


 激戦を制して1着となったのは長い名前をした牛柄のコイウオだった。喜びの余り水槽から飛び出して、コイ主にハグしてもらっている。この世界の魚は水から出して触ったりしても大丈夫らしい、コイ主はビショビショだが誇らしげな表情がなんとも眩しく輝いてみえた。


「いいなー!ルッチもコイレースやりたい!」


「よしきたァ!コイウオ持ち込みなら年間管理費500ベグで預かってあげるよ〜、そしたらいつでもレースに参加できる!」


「コイウオ持ってないよ?」


「レンタルもできるけどねェ、自分のコイウオが欲しくない〜?釣り竿も売ってるよ、通常38000ベグだが、特別に7500ベグにまけてあげよう!」


「すっごいお得!買う!!」


「まいどォ〜!」


「はぁ…?まじっすかこの人…」


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