2−4:ドヤ顔
翌朝。ユウリは不思議な夢を見ることもなく、ギンネに舐めて起こされることもなく、昼前になってようやく目を覚ました。既に身支度を終えたウルムとルッチが何やらまた揉めている。
「あ〜〜最悪な夢みた。ソファーなんかで寝たせいっすわ完全に。次は俺がベッドっすからね」
「あはっ、ウルムってば次もルッチたちと寝室を共にするつもりなの?意外とえっちだねぇ」
「はぁ〜〜〜!?!?!!?そういう意味じゃねーっすから!!!!」
「声でっか…あ、ほらウルムがうるさいからユウリが起きちゃったじゃん!ゆっくり寝かせてあげよって言ったのに!」
「あんたが変なこと言うからじゃんすか!!!」
今日も大変にぎやかである。顔真っ赤の思春期ウルムはさておいて、ユウリも身支度を始めるべくのそのそとベッドを出た。それを見て窓枠でくつろいでいたギンネがぴょんと飛び降りてユウリの元へ向かう。
「おはようユウリ、寝ぐせもかわいいね。ねぇ、昨日は心配したよ。あまりぼくの目の届かないところへは行かないでほしいな」
「?」
「路地へ入ったでしょう?ああいう入り組んだところは空からじゃよく見えないんだ。ぼくの光の届かないところはダメ。わかった?」
見えていたところでどうせ助けてくれないじゃないか、と思わなくもないが、それよりもユウリには確かめたいことがあった。空から世界を見ているならば、ギンネはきっと知っているはずだ。
「マオもアラドイムにいるの?」
「うん。お日さまの元にいるよ」
あっけらかんと、さも当然のようにギンネは答えた。やはりそうなのか。マオもアラドイムに連れてこられていて、ギンネはそれを知った上で黙っていた。
どうして、と口を開きかけたユウリだったが、ルッチが背中に飛びついてきたことによって危うく舌を噛みそうになり、咄嗟に口を閉じる。
「なになに?マオって誰なの?」
聞きながらルッチはユウリの手をぎゅむぎゅむと握った。この人はどうしてこうもスキンシップが激しいのだろう。
「…ふむ、弟がいるんだねー。すずはら、まお…目も髪もユウリとおんなじ色。カードで遊ぶのが好きなのかな」
「え?」
誰も何も言っていないはずだが、どういう訳かルッチはマオのフルネームを呼び、あまつさえ容姿や趣味までも言い当てた。信じられないといった顔で見つめるユウリに構わず、ルッチはなおも続ける。
「これはお誕生日会?でっかいケーキと…あは、ユウリのおじいちゃんおばあちゃんってとっても優しそう!マオのプレゼントは…お揃いのマグカップ?んん?去年もその前もお揃いのグッズじゃない?」
ユウリはすっかり青ざめている。どうやら全部正解のようだ。遠巻きに様子を見ていたウルムも、ただならぬ雰囲気に慌てて声をかけてきた。
「ちょちょ、ルッチさん?え?なんすか?どゆこと?」
「えへへ、ルッチねぇ〜触ったものの過去のことが見えるんだよ」




