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2-1:神秘の花


「ふん、ふん、ふーん♪」


 お弁当をお腹いっぱいに食べて、ルッチはご機嫌な様子。

 エリナは多めに作ってくれたようで、3人で食べても充分な量があった。もっともギンネが物を食べないというのが想定外だったのだろうが。


「でー?ルッチさんはこんなとこで何してたんすか?」


「旅!可愛い子は旅をするんでしょ?ルッチはねー可愛いから旅してたんだよ」


「はぁ〜〜〜?あ〜〜、そうすか、へぇ〜…」


 ウルムは何かツッコもうとして面倒くさくなってやめたようである。実際のところ、ルッチは可愛い。

 ピョコピョコ弾む桜色の髪、人懐っこい猫目に金色の瞳、にへらと笑う柔らかそうな口元に小ぶりな八重歯。細身の体つきには華奢な印象もあるが、ショートパンツからすらっと伸びるタイツ越しの太腿は引き締まっていて健康的。背もユウリやウルムより少し高いようだ。あとなんか甘くていい匂いがする。


「ね、ユウリたちは何してたの?」


 身を乗り出して話しかけてきたルッチに、ユウリはカバンから桜竜への手紙を取り出して見せた。


「お手紙?女王さまに届けるの?んー…ね、それならルッチもお手伝いするよ!助けてもらったら恩返しをするんだよ!」


「や、いいっすよ。なんかやかましくなりそうだし…」


「えールッチ絶対役に立つよ?だってエアシトはルッチたちのお庭だもの」


「庭って…何様っすか…」


「ぼくはルッチを仲間にするの賛成だな」


 エアシトは桜竜の守護する東の大陸の名前だ。詳しい人が仲間になってくれるならそれに越したことはない。ルッチの素性はわからないが観測者のギンネも賛成していることだし、特に問題はないのだろう。ユウリは頷いてルッチの手を取った。


「あは!ギンネとユウリはルッチを歓迎してくれるんだ、嬉しいな〜よろしくね!ルッチね〜実は結構強いんだよ」


 ルッチは本当に嬉しそうにへにゃへにゃと笑ってユウリの手を握り返した。指は細長く、予想よりも硬い手のひらをしている。


「ウルムもよろしく〜?」


「は〜。まぁしゃーないっすね、よろしくっす」



 仲間が1人増えて、一行の進むペースは格段に上がった。ルッチは自称する通り、結構…かなり強かったのである。

 舞うような優雅な動作で薙刀を振るったかとおもえば、強力な地属性の魔法で巨石を降らせる。圧倒的な力の前で魔物たちは成す術もなく蹂躙されるばかりだ。もしかしたら腹ペコでさえなければ、ガドレッグなんて1人で倒せていたんじゃないかと思う。


「つか!魔石無しで魔法使うとか!あんた異邦者だったんすね!?騙したんすね!??」


「別に騙してないしどっちでもよくなーい?今どき異邦者だからってどうこう言う古臭い考えのやつ居たんだ〜って感じ。ルッチたちはもう仲間だよ、ねーユウリ?」


 ルッチは楽しそうにそう言ってユウリに抱きついた。顔に違わず人懐っこい性格なようだ。

 それに言われてみれば異邦者がどうとかいちいち騒いでいる人はウルムくらいしか見たことがない気がする。この世界の常識についてはよく知らないが、ウルムは古臭い考えらしい。


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