プロローグ
モルアナ戦争にかかわった兵の話からは必ずと言っていいほど‘死神’と呼ばれた少女が出てくる。
なぜ彼女が死神と呼ばれたのか。
そのことを尋ねると顔は青白くなり、鳥肌が立つ。
こんなにも彼女が恐れられた理由はいったい何だというのだろうか。
教歴1742年水田が黄金色に色ずく頃に私は生まれた。
私は生まれたとき村中に響くような声を上げたそうだ。
「ジュリ、こんなところにいたのか。」
今ここに入ってきたのはお父さんのクラレオで村の警備の仕事をしている。
「お父さん!」
腰あたりに飛びつくように抱き着いた。
どてと尻餅をついた。
「こらこら、いきなり抱き着くな。それにして大きくなったもんだなぁ。」
頭をなでながらそう言った。
へへへと満面の笑みを浮かべた。
「ここで何をしてたんだ。」
「本を読んでたの」
「ヘザーっていう女の子がすごいことをする奴。」
大昔ヘザーというこの国を救ったことが書かれている。
中には信じがたいものもあり、本当は彼女は存在しなかったのではないかともいわれる。
「ヘザーの伝説か。お父さんも昔よく読んだもんだな。」
「お父さんも読んだことあるの?」
「ああ、あるとも小さい頃はあこがれれてよくやんちゃをしたもんだ。」
「えー。うっそだ。」
「本当のことだよ。」
「クラレオ、ジュリ何をしてるの。夕飯の準備できたわよ。早く降りてきなさい。」
「おっと、ジュリを呼びに上に来たんだった。」
「さぁジュリ、下に降りぞ。」
今日の何でもないことをすごいことのようにしゃべりながら料理を食べていく。
空も暗くなり、あくびが出始める
「ほら、もう空も暗いだしそろそろ寝ましょうか。」
「は~い。」
ベットに入るといつもお母さんが寝かしつけてくれる。
寝かしつける方法は様々だ。
子守歌の時もあれば、本を読んでくれる時もある。
寝息が聞こえてきた。
「おやすみ、ジュリ」
ほほにキスをする。
鳥のさえずりが聞こえ、空が明るくなる。
でも、私はまだベットの上でグーグー言っている。
「ジュリ、起きなさい。」
「うーん。」
「もうちょっとだけ。」
「だめよ。いつまで寝てるつもりなの。」
「わかった。起きる。」
私はとても朝が弱い。
朝起こしてもらわなければ、昼までは絶対に起きないほどに。
ベットから出てテーブルに着く。
テーブルには朝ごはんが並んでいた。
まだぼーっとしている。
昼すぎに家に一人ジュリちゃんはいる~と尋ねてきた。
カロルちゃんだ。
いるよ~と返事をした。
そそくさと靴を履き、外に出た。
カロルちゃんはとてもすごい。
おいかけっこが男の子よりも早く、けんかも強い。
私を守ってくれたこともある。
今では仲よく遊ぶ仲になっている。
今日はおいかけっこをして遊び疲れたら家に帰る。
そんな楽しい一日を過ごして幼少期を終え、大きくなり、村の殿方と結婚し、家庭を築くはずだった。
あの時までは
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