表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

ショートショート6月〜3回目

謎の文字は謎のままでよし。

作者: たかさば

朝、六時。

日課の早朝ジョギングに出かけた、俺。


いつものペースで公園を二週したあたりで、いきなり腹が痛み始めた。


走る速さを緩めて様子を見るが、痛みがどんどん増してゆく。

とても家に着くまで我慢できそうにない。

……どこかで、クソするか。


この公園内に、トイレは三箇所ある。


ひとつは、管理棟にあるトイレ。

建物の中にあるからかいつもキレイに掃除が行き届いていて、トイレットペーパーも完備されているが、朝九時にならないと自動ドアが開かないようになっている。

今はまだ七時前だから、当然使うことができない。


ひとつは、この公園ができたときからある、古いトイレ。

タイルの壁、裸電球、古臭い蛇口、和式便器…しかも紙がない。

ションベンくらいなら使ってもいいが、行き急ぐ勢いのあるクソをぶちまけるのには勇気がいる。


ひとつは、休憩所にあるトイレ。

開放型のログハウスの中にあり、少し薄暗いもののわりと綺麗で紙もある。

洋式便器と和式便器両方あるし、多目的トイレもあるので使いやすいが…今、改装中らしく、一周目に通った時にトラ柵がしてあったのを、見た。


ここから一番近いのは古いトイレだが、あいにく俺は紙を持っていない。

この場合、休憩所のトイレを使うのが最善だろう。

俺は極力刺激を与えないよう、小走りで休憩所へ向かった。


トラ柵を跨いでトイレに向かうと、多目的トイレは使用中だった。

洋式便所が開いていることを祈り、男子トイレに入る。


早朝ということもあり、男子トイレの中には誰もいなかった。

洋式と書いてあるドアを開けようとノブに手を伸ばすと、なにやら文字が書いてあるのを発見した。


はいるな


いや、はいるだろ。

俺は今、決壊が近い。


便座に座ってスプラッシュマウンテンオンザビーチをかましていると、目の前の壁になにやら文字が書いてあるのを発見した。


みぎをみるな


いや、見るだろ。

俺は今、ハッスルしすぎた噴射口を拭きたい。


やんちゃが過ぎたクリサンセマムゲートをごしごしやるべく、右側にあるトイレットペーパーをぐるぐる巻き取っていると、目の前の壁になにやら文字が書いてあるのを発見した。


べんきのなかをみるな


いや、見るだろ。

俺は自分の生み出したものを確認したいし、きちんとお見送りをしたいタイプなのだ。


スッキリした気分で個室を出て、手を洗いにいくと、鏡の下部分になにやら文字が書いてあるのを発見した。


うえをみるな


そうだな、上を見る必要はないな。

俺は鏡すら見ずに、トイレを出た。


―――ちょ!!そこは見ようよ!!


なんか声が聞こえたような気もするが、俺は一刻も早くこの場を立ち去りたい。


なんせ先週事件があったばかりのトイレだからな。

凄惨な事件だったから使用禁止になってるかと焦ったんだけど、使えてよかったよ。


俺はすがすがしい気分でトラ柵を跨ぎ……、ジョギングを再開するために、一目散に駆け出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公の完勝ですね。 時には上を見ないことも大事なのですね。 面白かったです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ